第23話 真実

それから数日が経った時、俺のケータイに一本の連絡があった。


ーーこの番号は、笠原佐知子のものだ。


「もしもし?」

素知らぬ顔で、俺は電話に出た。


「鈴原君がいなくなっちゃったの!」

受話器の向こうの声が慌てているのは明白な事実だろう。


「ーーいつから?」


「一ヶ月前から」

俺は口を閉ざす。


「ーー少なくても俺は見てないよ!それに、俺には関係ないーーあんなヤツの事なんて」


「ーーもしかして、あなた、あんな嘘信じたの?」


ーーウソ?

ーー何の事だ?


「ウソって何の事だよ?」


「あなたに会って、カイト君と私(笠原)が結婚するって話よ!」


ーーはぁ?何でそんなウソを??

意味がわからない。


「一ヶ月前のあの日、カイトから頼まれたのよ!拓海にドッキリをしかけたいと言ってきたの。それで結婚するって話をしたのよ!あるわけないのにーー」


ドッキリ?

マジで?

そんな事の為に俺はーー?


「うわぁぁぁぁぁ」


これ以上ないくらいの声で、俺は叫んでいた。


なんて事をーー。

俺は間違っている。だが、アイツが悪いんだ。鈴原が、、あんなウソをつくから。


そんな思いが交互する中で、俺は再び叫んだ。


「カイトーー、、何やってんだよ!?カッとなったら俺には周りが見えなくなるとわかってて、どーしてこんな事をー?」


カイトには二度も大ケガをさせた挙げ句、彼を殺してしまった事への後悔が、涙に変わった。

この時はまだ、それが俺の本心だった。

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