第6話 sとかmとか

彼は言った。俺もSやねん。私は、思った。知るかー。今、そんなことはどうでもいいんだ。大体、SとかMとかなんやねん。まあ、そう思いながら、私はとにかく主導権を握らせないように必死だった。彼がいきそうになり、もうやめてと手を押さえつけてきた。そして、また始まる、格闘技。私は、渾身の力をこめて彼に押し倒されないように両手を握っていた。もう相撲のような状態だ。お互い、裸で両手に全体重をかけている。思わず、笑いが出てしまった。こんなに楽しいセックスの前戯は一生ないだろう。彼は、こんな女の子初めてなんやけど、と言ってきた。ほんと、クソ野郎。そう、あいつ、私の名前も覚えていなかったのだ。私は、もう一度彼を押し倒し、私の名前分かる、と聞いてみた。彼は、分からないと言っていた。私は、自分の名前を覚えさせてやった。耳舐めしながら。彼は、耳が弱かった。耳を舐めながら手こきをして、もう本当に私はSだった。彼が、いきそうになると手を止めてくるので、手も押さえつけた。ちなみに、足も押さえつけといた。彼は、三回くらいいきそうになり私の手を押さえつけた。そして、今度は私が押し倒された。押し倒されたら、彼の手は私の中に入ってきた。すっごい、ぐちょぐちょ。だから、防衛本能だっつってんだろ。結局、やっぱり入れることになった。私は、めちゃくちゃ言い訳をした。もし、私が泣いたらどうする、痛いかも、血出るかも。彼は、もし血が出たら舐めたる、と言ってきた。この一言で私は入れる決心をした。私は、本当に馬鹿で単純だ。でも、こんな風に言える彼をかっこいいと思った。その時だけは、彼じゃなければ入れないと思えた。彼がゴムを付けようとして、あ、そう、やっぱりクソ野郎なのは間違いないのでゴムをしないで入れようとしてきた。私は、ゴムを付けなければ入れないと言った。生の方が彼は気持ちいと言う。私は、こいつは馬鹿でどうしようもなくて、さらに彼に体を許してきた女の子たちの方にもムカついてしまった。こういうのは、女の子の方が許すからダメなのだと思う。大体、入れるときなんて二人の同意の上で成り立つものなのに。他の人はもしかしたら無理やりなんてこともあり得るが彼は、優しかったので絶対女の子の方が許していたんだと思う。彼も馬鹿だが、彼を許した女の子たちの方が私は馬鹿だと思った。

 とにかく、私は付けないと入れないとはっきり、言った。彼は、ラブホのゴムを取りつけようとした。そこで、私の出番だった。私は、事前に口でゴムを付ける練習をしていた。だから、口でゴムを付けられるはずだったのだ。彼のゴムを手に取り、私が口で付けてあげようとした。しかし、彼は包茎で、ゴムが付けずらかった。いや、包茎の事をよくわかっていないのでむしろつけやすかったのかもしれない。そんなことはどうでもいい。とにかく、彼のが大きくて太くてなかなか口で付けるのは難しかった。そして、私は焦っていた。つけようとしたんだけど、なかなか付けられず結局彼にやってもらうことになった。そしたら、なんと、ゴムが反対だったのだ。もう、処女だとばれてもおかしくないと思う。ほんと、笑える。ゴムを反対に付けるやつがいるか。あほ。恥ずかしかった。私は素早く取り2個しかゴムがなかったのであと1個は彼に付けてもらうことになった。結局、私の練習は無駄になった。最悪。

 さあ、いざ挿入。もちろん、私はもう濡れていなかった。すると、ローションを彼が取りだしそれを私に塗ってきた。少しだけ冷たかったが、ローションを付ければ必ず入ると言っていた。私は、彼に身を任せなるべく力を入れないようにしていた。でも、どうしても入らなかった。そう、あてているところは合っているのに、どうしても入らなかったのだ。私が力を入れいていたらしい。もう、自然と足が閉じてしまった。もっと開かないと入らないと言われ、私はどうしても閉じてしまっていた。だって、力入れないつもりだったんだよ。でも、無理だったんだもん。二回ほど試したが、彼が萎えてしまった。そして、私も萎えた。正直、やっと処女を捨てられると思ったがやっぱり、無理だった。指は一本しか入らないし。彼をその後も、いかせてあげることは出来なかった。包茎だと擦りすぎると痛いらしい。ドンマイ、私。私と彼は、そのまま一緒に眠った。彼が腕枕をしてくれて優しかった。私は、彼はかっこいいなと思った。優しかった。途中で、不機嫌になることもなかったし、出来なくてもこうやって腕枕してくれるし。私は、彼の優しさに少しだけ甘えてしまった。彼が生でやろうとする、クソ野郎ということは変わりないが初対面でホテルに行ったのが彼で本当に良かったと思える相手では会った。

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