ダレ?(4)

『あれ、眠っていたのか』


俺が起きると知らない部屋にいた。


昨日の記憶が定かではないが思い出す。


『確か昨日、課長に肩を貸してもらって駅に向かっていたけどあの後記憶がない』


俺はよく部屋を観察してみることにした。


暗くてハッキリは見えないがそこにはおびただしい数の誰かの写真が貼ってあった。


暗闇に慣れた頃に写真を見るとそこには俺が写っていた。


俺「うわぁ、なんだこれ!」


思わず声が漏れてしまった。


トタトタトタトタ

誰かの足音が聞こえる。多分この部屋の主人のものだろう。


カチャ

扉が開いた先には・・・


女「海飛君」


コンビニであった女がいた。


女「今日は課長さんと随分、お楽しみだったみたいだね」


俺「な、なんだよ。ここ」


女「私の住んでいる部屋だよ。もう逃さないからね」


何かを手に持ち女が近づいてくる。


女「これ飲んで!そうするとね・・・」


俺「そうすると何?ね、ちょっと」


女が何かを飲ませてくる。


女「飲んだね海飛君」


俺「これ何?」


女「睡眠薬だから安心して」


俺「信じろと?」


女「信じなくても良いよ。だってもう海飛君は私のものだから」


俺「君は誰?」


女「んー。誰だと思う?」


俺「ほんとに会社にいた?」


女「いたよ。君の身近に」


女がメガネを外すとそこには


俺「え、本当に誰?」


女「えー、まだわからないの」


女が髪の毛をセットするとそこには


俺「課長」


課長「そうよ。もっと早く気づくかなと思っていたけど本当に鈍感なのね海飛君は」


俺「なんでこんなことを?」


課長「それは海飛君の想像に任せるわ」


俺「課長、俺が仕事に行かないとみんな怪しみますよ?」


課長「それは大丈夫よ。海飛君は長期休暇を取得してるから近日中に怪しまれることはないよ」 


睡眠薬の効果が効いて来たのか意識が遠くなる。


課長「海飛君。おやすみ」


親友A「海飛最近見ないよな」


親友B「サボりかな。まぁそんなわけないよな。何か急用で来れないんじゃないか?」


親友A「それなら良いけど」


親友B「お前、海飛だけにすごい過保護だよな」


親友A「あいつ危なっかしいからつい過保護になるんだよな」


親友B「お前も学生時代から変わらないな」


今日も海飛が仕事に来ることなく終わった。


俺は家に帰りパソコンを開く。


するといつもと違う場所にGPSの位置情報が止まっていた。


『ここ3日間ずっとこの場所を指すんだよな』


親友Aがまたパソコンをいじり始めると画面一杯に動画が流れ始めた。


どうやら監視カメラの映像のようだ。


『3日前の映像を見るか』


するとそこには課長と海飛の姿があった。


親友A「待っててね海飛」

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