部屋

今日は電気が付いていないことに一安心してエレベーターに乗る。 


ドアの前に行き鍵をさす。


カチ

鍵が開いた音がした。今日はしっかりと玄関も閉まっていた。


玄関に入り鍵を閉めてチェーンを掛け、いつものようにドアの前に行く。


ガチャ

部屋の扉を開けた。


そこには誰もいない。


俺は心のどこかでほっとしている。


早速、親友Aに借りた探査機をコンセントの所に使ってみた。


反応があった。

俺は他にも調べて行った結果盗聴器が4個と盗撮機器が2つ出てきた。  


ドンドンドンッ

突然玄関のドアが誰かに叩かれている。


ドンドンドンッ

女「海飛君」


ドンドンドンッ

女「海飛君いるんでしょ」


あの女が来た。俺はもちろん居留守を使う。


俺が恐る恐るドアにある覗き穴から覗き込むとそこには女の目があった。


俺「うわぁぁぁあ」

思わず声が出てしまった。


女は外から覗き穴を見ているのだ。


『怖い。怖すぎる』


女「海飛君!海飛君早く開けてよ。」


俺「近隣に迷惑ですので静かに帰っていただけませんか?」


女「なんで?なんでなの?」


俺「帰っていただけなければ警察呼びますよ」


女「私、海飛君の彼女でしょ。だって手作り料理も作ったんだよ!」


俺「お願いですから帰っていただけませんか?」


女「しょうがないな。海飛君の照れ屋さん」

『あれ?対応が変わったな』


女「またね職場でね海飛君」


コツコツコツコツコツ

おそらく女は帰って行った。


俺は覗き穴を見る。そこには誰もいなかった。


心がフッと軽くなる。


『あの女の人、職場にいなかったけど本当に誰?』


俺はこの疑問を抱えたまま寝た。


盗撮機器と盗聴機はこれ以上何かあったときに警察に出すための証拠として残している。


翌朝いつものように歩いて会社まで行く。


会社に着いた。


親友A「よう!どうだった?」


俺「ああ、ありがとう」

探査機を返す。


親友A「で、どうだったんだよ?」


俺「お前の言う通り大量にあった」


親友A「だろだろ」

親友Aは楽しそうに話す。


俺「なんでそんなに楽しそうなんだよ」


親友A「いやぁ俺の知識がまさか役に立つとはな」



ギラギラした目で男たちの会話を聞いている女性が1人いた。


男「海飛まじ気をつけろよな」


俺「気をつけるわ」


イヤホン越しに聴こえてたその声に女性は愛おしそうに耳を傾けた。


女性「待っていてね海飛君。もう少しだよ」

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