料理

「おかえり海飛かいと君」

そこには女性がいた。


俺「た、ただいま」


俺は思わず返してしまった。


女「今ご飯作っているからくつろいでいて」


俺「コンビニでご飯買って来たんだけど」


女「今日くるからって連絡してたけど見てなかった?」


俺「ああ、ごめん。見てなかったかも」


連絡履歴を見るが「来る」って誰も送ってきてない。


それに俺は女性の連絡先を持っていない。


ここで2 つ疑問が生まれた。


『この人は誰?』


『どうやって入ったの?』


俺は逃げようと部屋を出る。


女「どこ行くの?」


女は包丁を持ったまま問いかけて来た。


俺「お風呂入ろうと思って」

逃げれるチャンスだ。


女「久しぶりに一緒に入ろう」

ぎらぎらした目で俺を見てくる。


断りたいが断ったら殺される。


俺「わ、わかった。一緒に入ろうか」

逃げれなかった。


俺は諦めてテレビの前のソファに戻った。


女は包丁を持っているため逆上ぎゃくじょうさせたら殺されてしまうだろう。


俺は会社の話をすることにした。

俺「今日さ会社の上司にめっちゃ怒られたんだよね」


女「なんで?」


俺「資料ミスしちゃってね」


女「誰に?」


俺「上司だけど」


女「名前は?」


俺「米田って言うんだけど知ってるの?」


女「いや、知らないけど。海飛君のことはいつも見てたからね」


俺「へー、ん?」

『いつも見てた!?

という事は俺の身の回りの人なのか?』


女「米田って言う人の写真ないの?」


俺「ないんだよね」


女「ふーん」


俺「そう言えばさ仕事どうしたの?」


女「仕事してるよ」


俺「俺をいつも見てるの?」


女「うん!仕事しながらね」


『この人職場で見たことないけどどういうこと?』


女「ご飯できたから一緒に食べようか」


聞こうと思ったが知ることへの恐怖からか聞けなかった。


作っていたのはハンバーグだった。


見た目はすごく美味しそうだ。


女「海飛君食べないの?」


女が言ってくる。


俺「今食べるよ」


ハンバーグを食べる。肉汁が溢れてとても美味しい。


俺「美味しい!」


女「でしょ!頑張ったんだよ」


俺「そういえば今日泊まって行くの?」

彼氏のふりを頑張ってはいるが・・・


女「明日、仕事だからね帰るよ」


俺「終電なくなるかもしれないから早く帰ってね」


女「海飛君、もしかして私に早く帰ってもらいたいの?」


俺「夜遅いと心配だからね」


女「もう海飛君ったら〜」

どうやら女の機嫌は良い。


女は食器を洗い帰る支度をしている。


女「海飛君また職場でね」


俺「気をつけてね」

俺は笑顔で見送る。すぐに鍵を閉めてチェーンも掛けた。


『怖ええええよ。あの女誰?何また「職場でね」って怖すぎるよ。

ていうか俺どこに電話すれば良いの?警察に電話するのかな。

女の人が部屋に勝手に入っていて料理作って帰って行ったんですけど、どうすれば良いんですかって警察に?』


俺「忘れてた。コンビニで買ったおにぎりとチキン!!」


ドンドンドンドン

隣人「うるさいぞ!」


隣人に怒られてしまった。俺は明日の仕事のことを考えて寝た。

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