アリスとバート
Nekome
アリスとバート
皆様初めまして、アーディです。
このお話は昨年亡くなった祖父の部屋で見つかった手記をもとに書いています。
このお話は現実にあったことかすらわかりません。作り話かもしれないのです。
祖父は一度もこの手記の話をしたことがありませんでしたから……
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「ねぇアリス、笑うんだ、辛い時は笑う、そうすれば辛くなくなるんだよ!」
そういう少年はまだ十六歳、名前はバートと言います。
十二の時両親を事故で亡くし、祐逸の肉親の妹アリスと共に大きな国の大きな街の路地裏で暮らしていました。
「本当?お兄ちゃん、パンが全部なくなっちゃったって、大雨が降って寝るところがぜーんぶ濡れちゃっても笑ったら辛くなくなるの?」
「本当だよ!笑えばパンが無くなっても次の日には増えているし、寝る所が無くなっちゃっても次の日にはとっても良いことが起きるんだ」
そんな奇跡みたいなこと、起きるわけがありません。
これはバートが、体が弱くいつも影で泣いてばかりのアリスを元気付けるために毎回吐く、悲しくそして、優しい嘘なのでした。
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バートとアリスは毎日野菜売りの親父さんの所に出向き、バートは畑仕事を、体の弱いアリスは店番を任されています。
日が出てから日が沈むまで休み無しに毎日働き、お金を貰っているのです。
「親父さん、今日の分の給料をくれませんか?」
「あ?あー、今日の分まだだったか、ほら、妹の分も含めてだ」
そう言って渡されたのは銀貨三枚だけでした。親父さんはいい加減な人で給料をくれない時もあるのです。この日はまだマシな方でした。
(銀貨三枚だけじゃ、パンしか買えない。せめて、どんなに少なくても僕とアリスで銀貨十枚分の働きはしているのに……)
十三の時から親父さんのところで働き始め、今までたった1グラムの肉さえ買えたことがありません。
バートは不満を募らせていましたが仕事を辞めることはできませんでした。
この比較的治安の良い街で仕事を探すとなれば。
まだ子供で拙く、しかも孤児で、そして力仕事の出来ない妹と共に雇ってくれるところなんて、どこにもないとバートは思っていたのです。
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仕事中、昼になると近所の人がこんな言葉をかけます。
「にいちゃんようけ働くなぁ、朝からずっとだろ?いい加減休んだらどうだ」
「大丈夫です。今休んだら親父さんに怒られますし」
「そうか?ならいいが、ここにメシ置いておくから、腹減ったら食べるんだぞ」
「ありがとうございます。後で妹と食べますね」
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それから三年の時が経ちました。この間で起きたことはわかりません。手記には何も書いていなかったのです。
三年の時が経ち、バートは18歳になり頼もしくなりました。アリスも15歳になり三年前と比べ、容姿を褒められることが増えました。
「それでね!アルバートさんは毎日野菜を沢山買ってくれて、それに優しいのよ、私が会計に戸惑ってしまっても怒らないで待っててくれるの」
「凄く良い人だね、まさかアリスからそんな甘い話を聞くとは思わなかったな」
アリスは15歳になり体は弱いままでしたが弱音を吐くことがなくなりました。
理由は二つあります。
一つはバートが十八になり使えるようになった為親父さんが給料を上げてくれたこと。
もう一つはアリスがアルバートさんに憧れを抱いていたからでした。
アルバートさんは街で有名な靴屋の息子、アリスは孤児で路地に住んでいる……明らかに身分が違います。
アリスもわかっていました。絶対に叶わぬことがないと。ですが、諦めることはできませんでした。
両親が亡くなってから、兄バート以外で優しくしてくれたのはアルバートさんが初めてだったのです。
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「おいお前、ちょっとこっちに来い」
「なんですか親父さん」
「俺の友人がよく働く奴を探してるらしいんだ。寮付きだがな、お前は無愛想で人気もないが、よく働く、明日からそこに行け」
「そんな急に……無理ですよ!妹はどうなるんですか!」
「あいつはお客に人気だしそのまま働かせる、それで良いだろ?」
断ることはできません。断ればバートもアリスも仕事を失うのですから。バートは頭を悩ませました。
夜になり、バートはアリスと話し合いました。
「行ってきなよ!今よりお給料貰えるかもしれないし!」
「それでも、やっぱりアリスのことが心配だよ……いくらこの街の治安が他に比べて良いからって、いつ襲われるかわからないんだ」
「お兄ちゃんは心配しすぎだよ、私ももう15歳だし、自分の事ぐらい自分で守れるから」
アリスに励まされ、バートはようやく決心がつきました。
「愛してるよ、アリス」
「そんな言葉お兄ちゃんらしくないよ!明日早く行かないといけないんでしょ?もう寝なきゃ」
そうやって妹に茶化されてしまいましたが、これは本心でした。
バートは年を重ねるごとに明るく強くなり、いつも自分を励ましてくれるアリスを心から愛していたのです。
素晴らしい兄妹愛でした。
~~~
その次の日、バートは日が登る前に親父さんから教えられた場所へ、数少ない荷物を持ちながら出かけて行きました。
「すみません!誰かいませんか?」
「ん?ああ、あいつが言ってた奴か、上がってくれ、仕事を教えてやる」
「わかりました」
いつもの街より少し治安が悪い街の中の小汚い家のドアから顔を出したのは眼鏡をかけた。人相の良い男性でした。
それからバートは男性に仕事について一通り叩き込まれました。
まず此処ではパンを作っていること、そのパンの作り方、売り方、全てを教えられました。
「これはどうするんですか?」
「これはだな……」
パンを捏ねている時、バートはとても久しぶりに“楽しい”と思いました。
この男性はとても丁寧に教えてくれて、怒鳴ったり、いきなり叩いたりしないのです。バートは嬉しくなりました。
「おっちゃん、そいつ誰だ?」
「最近ビリーが死んだだろ?それで新しく雇ったんだ。この前言っただろ」
「へぇ……こいつが……」
この、男性を“おっちゃん”と呼ぶ人はバートより背が低く、バートより歳が低い少年でした。
「お前名前は?教えろよ」
「バート・イーディだよ」
「ふ~ん、俺はアントニーだ」
それからバートは毎日パンを焼き続けました。パンを焼く技術はどんどん上達しましたが、愛想が無いからか、バートの売るパンは全く売れず、売るのは全てアントニーがするようになりました。
上手くパンを焼けたら男性が褒めてくれました。
失敗してしまえばアントニーに酷く煽られましたが、
バートは毎日、初めて仕事が楽しいと感じていました。
バートが両親を無くしてから人生で一番幸福な時間だったのです。
~~~
一方アリスは今までと同じように街の人々に野菜を売り続けていました。
「やあ、ジャガイモと玉ねぎ、それから君のおすすめを買うよ」
「アルバートさん、いつも沢山ありがとうございます!今の時期だとにんじんが美味しいですよ」
「君が言うなら間違いないんだろうね、5本買わせて頂くよ」
相変わらずアリスはアルバートさんに想いを寄せており、アルバートさんが買いに来るたびに頬を赤らめるのでした。
それから一ヶ月、二ヶ月、三ヶ月と、いつのまにか半年が経っていました。
初めは毎日のように互いのことを思い出していたバートとアリスでしたが、時間が経つにつれ、余り思い出さなくなりました。
決して互いに想う気持ちが薄れたわけではありません。ただ、互いが居ないというのに慣れただけなのです。
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「ねえ君、親父さんはいるかな?少し用事があるんだ」
毎日毎日アルバートさんは野菜を買いに来ていました。この日も買いに来てくれたとアリスは思っていたのですが、どうやら親父さんに用があるようです。アリスは親父さんを呼びに行きました。
親父さんとアルバートさんは何かを話し合っていました。
アリスは内容を知りませんでしたが、
今考えれば、このような話をしていたのでしょう。
「親父さん、あの娘、最近どんどん美しくなるな。それにあの風貌からして生娘だ。あの娘をくれないか?」
「俺はあいつの親じゃあない、いつでも汚して構いませんよ、あいつは貴方に惚れ込んでいるし、貴方にとって都合の悪いことにはならないと思います。ただ、暫くは使いもんにならなくなるだろうし、ちとお金を積んで欲しいですかね」
きっとこのような言葉を聞いて、アルバートさんは大笑いしたことでしょう。
「親父さんも悪い人だ、いくら欲しい?」
「売上三週間分でどうですか?貴方にとっちゃあ安い物でしょう」
「ああ、それぐらいならいくらでも払う、今夜が楽しみだ」
アルバートさんは優しい人なんかではありませんでした。優しい人を演じ少女の心を掴み、その後まるで物のように自分の好きなように扱う、酷い人だったのです。
そんなことを知らないアリスはこの日も仕事を終わらせ、暗い夜道を一人で歩いていました。
「君」
アリスはそう後ろから呼び止められます。
振り向こうとしたとき、大きな手で口を塞がれ、胸を撫でられながら抱きしめられました。アルバートさんの手です。
「少し付き合ってもらう」
アルバートさんの声でした。ですがいつもアリスに向けているような声では無く、欲に溺れている。アリスにとっては恐怖を感じるような声でした。
アルバートさんの手から一瞬だけ逃れやっとの思いで出した声も、すぐさまアルバートさんの手に塞がれ、その次に何か硬い物が頭に当たったの感じました。殴られたのです。アリスの意識は暗闇へと落ちて行きました。
気が付いたときには知らない路地に寝かされていました。
アリスは恐怖で心臓がバクバクなっているのを感じました。助けを求めることはできません。なぜなら布で口元と手を塞がれていたからです。それに、例え助けを求めたとしても誰も助けてくれなかったでしょう。治安が悪い街では毎日水を飲むほど当たり前の事でした。
目の前にはアルバートさんがいます。ズボンを脱ぎ半裸になったアルバートさんが__
アルバートさんは静かにアリスに着いている布を外して行きます。まず手首を縛っている布を外しました。アリスは逃げようとしましたが起きたところを勢いよく押し倒されました。その時頭を強く打ち目の前がぼやけ、……その時の表情がアルバートさんには妖艶に見えたのでしょうか。とても満足そうに微笑みました。
次に口を塞いでいた布をゆっくりと外しました。アリスは喋れるようになり不愉快な表情で自分を見つめるアルバートさんに意を決して尋ねました。
「なんで……こんなことするんですか……?」
「君が美しいからだ。君は私の事が好きなんだろう?だったら本望じゃないか」
「やめてください……わたしはこんなことされたくありません」
その言葉をアルバートさんは無視しました。アルバートさんにとってはアリスの気持ちなどどうでも良かったのです。
アルバートさんはアリスが着ていた洋服を脱がします。この頃にはアリスはもう抵抗する気力は残っていませんでした。
あるのは恋心を打ち砕かれた悲しみと、これからされる事に対しての恐怖心だけです。
アリスは急に体を起こされました。コルセットを外すためです。コルセットを止めている紐が、少しずつアルバートさんによって外されて行きます。
交わる為に邪魔になるものは無くなりました。アルバートさんは好きなようにアリスの体を弄ります。首、胸、腕、腹、足、腰、全てを撫で回しました。アリスは恐怖に上書きされる様に快感を覚えました。
アルバートさんはアリスの体を撫で終わると次は身体中を舐め回しました。先程同じように首、胸、腕、腹、足、腰、全てを、まるで喰らい尽くすかのように__
アリスは出さまいと我慢してしまいましたが耐えきれず喘ぎ声を上げました。その声を聞いてアルバートさんは興奮しさらに激しくアリスの体を弄くり回します。
アリスはアルバートさんのモノが体の中に入って来て自分の体と淫らなモノが混ざり合うのを感じました。アリスは激しい痛みを感じていました。それはアルバートさんが自分の欲望に忠実に、アリスのことなど考えもせず。まるで物のように扱っているからでした。
そこからの記憶はアリスにはありません。ショックで記憶が飛んでしまったのか、もしくは記憶を失くしてしまうくらい、初めての快感に溺れたのでしょう。
__生々しい表現をしてしまい申し訳ありません。ですが、私が手記を読んでいて、一番印象に残ったことなのです。
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バートは幸せでした。新しい友人もでき、やりがいの、しかもお給料がしっかりと払われる仕事場で働いて、
朝になればパンを捏ねに厨房にでます。そして“いつも通り”アントニーと話しながらパンを捏ねるのです。
それに、バートは今お金が貯まったらアリスに綺麗な洋服を買おうと考えていました。
バートの表情は、半年前までのあの生活を忘れたような、そんなとても幸せそうな表情をしていました。
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アリスが目を覚ました時にはすでに朝になっており、アリスはあの犯された路地裏に居ました。アルバートさんはいません。またいつもの日常に戻ったのでしょう。
アリスの体は頭から足の先まで全て汚されていました。昨日合った事を鮮明に覚えています。アルバートさんの淫らな表情、あの、体をいじられる高揚感など……
アリスはやっと自由になったというのに服を着る気にすらなりませんでした。
激しいアルバートに対する嫌悪感がアリスを襲っていたのもそうですが、何より今、恐怖を抱きながら身も心も汚されている最中、自分が快楽に溺れたことに対し、今にでも死にたいと思ってしまうほど激しい自己嫌悪に陥っていたのです。
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まだ体の節々が痛いままですが親父さんの所に行かなければなりません。行かなければ今日食べるパンが買えないのです。
アリスは親父さんに遅刻したことを謝り、野菜を売り始めました。
いつもの愛想の良さはどこにも無く、その日はいつもの半分しか売れませんでした。
それから二週間が経ちました。相変わらずアリスの気分は落ちたままです。襲われたあの日から、ちっとも気分が変わらない理由はアルバートさんが何食わぬ顔で毎日、優しく話しかけてくるからでしょう。
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バートは心配でした。もう半年以上アリスと会っていないのです。
バートは休みが欲しいと頼み込み、アリスに会いにいく事にしました。
少しだけ懐かしい街並みをバートは歩きます。路地裏の自分達の家へ向かっているのです。まだ昼ですが、美味しいパンとを持って、夜まで待つことにしたのです。
(喜んでくれるといいな)
バートは笑って自分を迎えてくれるアリスの姿を思い浮かべていますが実際のアリスはそんな余裕ありません。
バートは路地裏の家に着きアリスの帰りを待ちました。
夜になるとアリスが帰って来ました。
「アリス!おかえり、久しぶりだね」
「お兄ちゃん……?」
バートは驚きました。あんなに元気だったアリスが見るに耐えないほど痩せ、やつれているのですから。
アリスは驚きました。いつも自分に食べ物を分けて、自分は痩せていて、暗くて余り元気の無かった兄が、半年前とは比べ物にならないぐらい健康的で、眩しいぐらいに元気になっているのですから。
「アリス?何が合ったんだ。こんなに痩せて……ちゃんとお給料を貰えてないのか?」
「ううん、ちゃんと貰えてるよ」
「じゃあどこか体を悪くしてるのか?」
「ううん、どこも悪くないよ、大丈夫だから」
大丈夫な訳がありません。バートもそれに気づきましたが、一先ず持って来た食べ物をアリスに渡しました。
「これ、食べて良いの?」
アリスはまず、いつも食べている物より形が綺麗なパンを手に取りました。
「遠慮しなくて良いよ、これは全部アリスのものなんだから」
「お兄ちゃんは良いの?」
「僕は空いてないから良いよ、好きなだけ食べて」
アリスは恐る恐る食べ物を口に入れて行きました。ゆっくりと噛んでいる中で、食べたことの無いような美味しさがアリスの口の中に広がります。
アリスは涙が出て来ました。
(凄く美味しい……)
「気に入ってくれたみたいで良かった!まだまだ沢山あるから好きなだけ食べてね」
そうしてバートは沢山のパンが入った袋をアリスに渡しました。
渡されたアリスは少しずつ手に取りながら勢いよくパンを食べました。それから数個食べたところで、アリスはお腹が満たされたのを感じました。
「お腹いっぱいになったから後はお兄ちゃんが食べて良いよ」
「本当?遠慮しなくていいんだよ。まだたったの数個しか食べてないじゃないか」
「遠慮なんかしてないよ、本当にもうお腹いっぱいなの」
「じゃあ明日食べて、三、四日は持つはずだから」
「わかった」
「それと、何か困ってる事があったら言うんだよ?」
「……うん」
言える訳がありません。アリスはバートに心配を掛けたく無いのです。
そう約束した後、バートは仕事場へ戻って行きました。
バートの姿が見えなくなるとアリスはその場にしゃがみ込みました。
兄に久しぶりに会えた喜びと、お腹が膨れる幸せと、健康的でとても幸せそうな兄バートに対しての嫉妬心を感じていたのです。
このアリスの気持ちを一まとまりで表すのならば『絶望していた』と言うのが一番近い表現でしょう。
~~~
寮に帰る途中、バートは考えていました。
今のお給料であればアリスが働かずとも一緒に暮らせるのではと、ですが今バートがいるのは寮であり、もしアリスと一緒に暮らすのであればこの仕事を辞めるしかありません。
(……妹も雇ってくれたらそれが一番良いんだけどなぁ)
バートはダメ元で聞いてみることにしました。
「すみません、ここで、僕の妹も雇ってくれませんか?」
「ん?ああ、そうか、妹が居るんだったな、何歳だ?」
「十五歳です。」
「あぁ~……申し訳ないんだがな、それだと雇えない」
「どうしてですか?お願いします!お金が掛かるのであれば僕の給料を少なくしてもらって構いません」
「その歳の女は金が掛かるんだ。それに力仕事ができないだろう。パンをこねることすらできない。力仕事のできない女など雇ったら大赤字だ」
「そんな……」
「きっと妹は酷い環境にいるんだろうが……同情はするがすまないな、俺にはどうすることも出来ない」
この男性に人情が無かった訳ではありません。他人の命と自分の命、天秤にかけた時自分の命の方が大事だったと言う。至極真っ当な理由でした。
~~~
それからまた毎日、バートはパンを捏ね、アリスは野菜を売り続けました。
半年が経ちました。
雪もちらちらと降る。とても寒い冬の時期がやって来ました。
寒い夜、バートはまたアリスの元へ向かっていました。また休みを貰ったのです。この日はアリスの誕生日でした。
バートは今までのお給料で買った綺麗なワンピースと沢山の食べ物を持ちながらアリスの元へ行きました。
「アリス!誕生日おめでとう!!」
そう路地裏を覗いた先に見えたのは、信じられない光景でした。
「……おにいちゃん?お兄ちゃん!ねえ、ねえ、なんかへんなの!おなかがふくらんでるの!うごいてるの!いたいの!おなかすいたの!」
路地裏にいる簡易式ベットに布団を被りながら横たわり
目の下に隈をつけ前会った時よりさらに痩せ金切声を上げるアリスの姿がありました。
「アリス!落ち着いて!何があったんだ」
バートは必死になってアリスを宥めました。暫くすると少し落ち着いたのか少しずつ、何があったか話し始めました。
「最近おなかがいたくて、それに膨らんでて、仕事は無くなって、ご飯食べられなかったの」
弱々しい声でしたがそれを聞きバートは嫌な予感がしました。
バートはアリスにパンを渡し、大急ぎで親父さんの所へ向かいました。
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親父さんのいる店に着くとアリスよりもずっと小さな女の子が店番をしていました。
「ねぇ君」
バートは少女に声をかけます。
「どうしたの?すっごく汗をかいてるね、大丈夫?」
「急いできたんだ、親父さんはいるかな?少し話がしたいんだけど」
「良いよ!お父さんのとこまで私が案内してあげる!」
そう言い満面の笑顔を見せ、バートの手をキュッと掴みました。
~~~
「親父さん!」
「おぉ、お前か、久しぶりだな」
「久しぶりだな、じゃ無いですよ!アリスに何をしたんですか!」
「いや?ただクビにしただけだ。お前も見ただろう?使い物にならなくなったからな」
バートは親父さんのことを問い詰めますが、親父さんはバートの方へ顔を向けることすらしません。
「アリスは妊娠していたんだぞ!」
「もしかしたら半年前ぐらいにアルバートさんがやったのかもな、金を受け取ったんだよ」
親父さんは平然と言い放ちました。
手記には、言い放たれた後バートがどうしたのか詳しくは書いていませんでした。書いていることは、親父さんに対して明確な殺意が湧いていたと言う事。
そしていつの間にか、自分が親父さんを殺していたということだけでした。
バートは自分が何をしたのか理解できず、そのまま立ち尽くしました。
「お父さん?すごい音したけど何かあったの?」
少女は父の元に向かい、そして信じられない光景を見ました。
今まで愛情を込めてくれた父親が、血を流して倒れているのですから。
少女は立ち尽くし、暫く父の死体を見つめました。
少女がその状況を理解すると、父に駆け寄り大声で泣き叫びました。
バートは呆然とその光景を眺めました。頭の中が混乱し、何か言葉を発することすらできません。
少女が泣き続け、声も枯れてきた頃にふと、バートの存在に気づきました。
バートを目で捉えた瞬間、怒りがふつふつと湧いて来ました。先程、親切に自分が父親の所に案内した男が、父親を殺したのは明白だったのですから。
「人殺し!!」
少女に言われたその言葉で、バートは心臓を殴られた様な気持ちになりました。それからも少女は怒りをぶつけ、その言葉一つ一つを聞くたびに、バートはたじろぎます。
「何でお父さんが死ななきゃいけないの!?あんたが死ねばよかったのに!!」
~~~
バートは自分がしたことの重大さに気づき、すぐさまその場を離れました。もうこの街にはいられません。隣町にも、近くの、バートが働いていた仕事場にも。
バートは走ります、愛する妹の元へ行くためです。
「アリス!!」
「どうしたの?お兄ちゃん」
アリスは先程より落ち着いています。
バートは迷いました。このままアリスを巻き込んでいいのか、そもそも人殺しをした自分に、兄を名乗る資格はあるのか。
自分はこのまま、生きていて良いのか。
「アリス……酷だが選ぶんだ」
「何を……?お兄ちゃんなんだか怖いよ……」
バートはアリスの両肩に手を置きました。
「僕は人を殺してしまったんだ。今僕と一緒に死ぬか、一緒に……逃げるか、どちらか選んでくれアリス!」
自分だけが死ぬという選択肢はありませんでした。自分が死に、妊婦のアリスが一人で生きられるとは到底思えなかったのです。
「そんな急に……お兄ちゃんが人殺しただなんて、そんな……」
「これは事実なんだ!さあ選んで、僕はアリス無しじゃ何も決めれないような、ダメな兄なんだよ……」
バートは涙が出て来ました。アリスの両肩に置いていた手の力が抜け体を丸めました。
「良いよ」
どれぐらいの時間が経った事でしょう。アリスはそう小さく呟きました。
「……え?」
「お兄ちゃんはまだ死にたくないんでしょ、だったら付き合うよ、一緒に逃げるよ」
頭が撫でられるような感覚を感じ、バートは顔を上げました。そこにはニコニコと微笑むアリスが座っています。
「なんで笑っていられるんだ!なんで僕を許してくれるんだ……僕の所為で、明日明後日、生きていられるかわからないのに……」
アリスは手を止め、そしてとても暖かい眼差しでこう言いました。
「辛い時は笑うんでしょ?それに、私に優しくしてくれたのはお兄ちゃんだけだったから。お兄ちゃんの為なら私、なんでもするよ」
バートはまるで女神様を見ているような気持ちになりました。
この言葉を境に、バートはアリスに依存することとなったのです。
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それからの行動は速く、バートはお金を袋にありったけ詰め、アリスと共に街を去りました。
それからの生活は、夜はとにかく歩き続けました。お腹が空けば近くで一番安いパンを買い、空腹を凌ぎました。
昼は路地裏を拠点としてバートはとにかく仕事をしました。それが人道的で無いにしてもです。
もうバートにとって、赤の他人などどうでも良かったのでした。
アリスさえいれば、それで__
「気分はどうだ?」
「凄く良い気分だよ。お兄ちゃんと居れて、私幸せなの」
「それは良かった。僕はバイトをしてくるから、待っててね」
「お兄ちゃん待って、ちゃんと食べてる?痩せたでしょ」
「アリスは今妊婦なんだから、沢山食べないと、それに僕は、アリスさえいればそれで充分なんだ」
そんな幸せな会話が、毎日のように繰り返されます。
アリスのお腹もドンドン膨らんで行きます。それは止まることなく、順調に赤ん坊が育っている証拠なのでした。
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アリスとバートは、夜の街を、牧師の家に向かって歩いていました。アリスが破水したためです。
「アリス、後少しだ!あそこの家の牧師に出産を手伝って貰おう!あの家の牧師は親切だと評判なんだ」
バートにそう言われてもアリスの痛みが和らぐことはありません。
「大丈夫だよ!後少しだから、ね?」
そうバートが慰める声はアリスは届いていませんでした。あまりの痛さに気絶しそうだったのです。
~~~
「牧師様!お助けください!妹が大変なんです!」
牧師は余りの必死じみた声を聞き急いでドアを開けました。
ドアを開けたとき、牧師は驚きました。出産間地かの妊婦と、痩せ細った青年が寒い夜の中を毛布一枚で歩いてきたというのですから。
「寒かったでしょう、急いでお入りなさい」
家へ招き入れた後、牧師はすぐさまアリスをベッドへと案内しました。
「早く清潔な布を持ってきなさい」
そう牧師は自分の家内に指示し、出産の準備を着々とやっていきました。
「僕は何をすればいいですか?妹の力になりたいんです」
バートは焦っていました。アリスが苦しむ姿を見て、出産がこんなに大変だとは知らなかったのです。
「励ましてあげなさい、最後は気合でしょうから」
その言葉を聞き、バートはほんの一瞬嫌な顔をしましたが、すぐアリスのもとへと走って行きました。
(この子達はみなしごか……)
牧師はバートの痩せこけた背中を見てそう思いました。
牧師は出産の事よりも子供が無事生まれた後のことを心配していました。
たった二人の人間ですら満足に養えない財政で、一人の赤ん坊を満足に養えるとはとても思えなかったのです。
「牧師様!来てください!」
牧師はこの子らの先々の事について考えていましたがバートに呼ばれ、急いでアリスのもとへ向かいました。一先ずアリスが無事出産を終えれるように専念することにしたのです。
牧師が向かった先ではアリスが力み、服の下を見るとすでに赤ん坊の頭が見えていました。
「あと少しですよ!頑張りましょう!」
そう牧師は励ましますが、苦痛を感じ叫ぶアリスを見てバートはもうほとんど泣きそうになっていました。アリスが死なないか、自分が一人にならないか、とても不安だったのです。
それから一時間ほど経った時、とうとう赤ん坊が生まれました。普通より小さく未熟児でしたが甲高い産声を上げるとても元気な男の子でした。
「アリス!見て!男の子だよ!元気な男の子だ!」
そういいながらバートは赤ん坊を掲げアリスに見せました。
バートはとても晴れやかな気分でしたが、牧師はまだ心中穏やかではありませんでした。
「母体も安定していますし暫くは問題ないでしょう。私から聞きたいことがあるので、こちらで話を聴かせてくれませんか」
牧師は気になっていたのです。何故妊娠しているのか、兄妹二人でどうやって暮らしているのか、これからどうするのかということを__
そう牧師に問われた瞬間、とても晴れ晴れとした顔をしていたバートの顔が一瞬にして曇りました。
額からは汗が流れ、目はうつろになり、手が震え、今にも赤ん坊を落としそうな勢いで、牧師は余りの異常さに赤ん坊を妻に預け、
落ち着かせるために客間へと移動しました。
暫くは震えていたバートでしたが徐々に落ち着いていきました。
「すみません、見苦しいところを見せました」
「いえ、私の配慮が足りなかったのですよ、幸せな気持ちに水を差すだなんて」
牧師は先ほどの様子を見てバートたちのことを知りたいと強く思いました。思い出したくないほどの生活をしているだなんて聞いたことがなかったからです。
それから長い沈黙の時間が流れ、牧師の妻が持ってきた紅茶が冷え切ったころ、牧師は重い口を開きました。
「これから、もしよろしければ母体が安定するまでここで暮らしませんか?産後直後の女性と子供を抱え暮らしていくのは辛いことでしょう。先ほどの話ですが、今すぐ聞きたいわけではありません」
こんな良い話、バートに断る選択肢などありませんでした。今この瞬間、自分の顔を頷かせるだけで衣食住が保証されるのですから。
「本当に良いんですか……?お願いします!僕も悩んでいたんです。稼いだお金は全て渡しますし、この御恩は一生忘れません」
その心良い返事に牧師は気を良くし、バートに新たな紅茶を振る舞いました。
「あなた方は暫くこの家の住人になるのですから、名前を教えてください」
「バート・イーディです。妹はアリスっていいます。牧師様の名前は?」
「ルイス・テイラーです。呼び方は自由にしてください」
「わかりました。牧師様」
「夜が明けるまでまだ時間がありますし、少し寝てはいかがですか?疲れもたまっていることでしょう」
「そうですね、アリスの様子を見てから寝ることにします」
牧師はそっと微笑み、客室を後にして自室へと向かいました。自室へ向かう途中、赤ん坊の世話をしている妻のもとへ寄ることにしました。
「アンナ、任せてしまってすまないね、赤ん坊の様子はどうだい?」
「普通の赤ん坊より小さいですがとても元気な子ですよ」
牧師の妻、アンナは先ほど生まれたばかりの赤ん坊をおくるみに包みベッドに寝かせていました。
「あの子供らを母体が安定するまで暫く家に留まらせることにしたよ」
そう聞くとアンナは顔を輝かせ、食い気味に牧師に詰め寄りました。
「それは良いことです!私とても心配していたのですよ、あのままあの暗い夜道に投げ出されれば親子もろとも死んでしまうのではないかと……母体と赤ん坊のお世話は是非私にお任せくださいませ!」
牧師はアンナの余りの気合の入りように驚きましたが、気合があるのは良いことだと余り深く考えないようにしました。
牧師は自室へ戻り、そのままベッドに倒れこみました。
(あの赤ん坊の父親は誰なのだろう)
そんな疑問が牧師の頭の中を巡ります。しばらくの間考えていた牧師ですが、考えてもわからないことだと気づくと疲れて居たということもあり直ぐに眠りに
つきました。
次の朝、牧師が起きるころにはバートは朝早くから置手紙を残し仕事をしに出掛けていました。
「赤ん坊の名前はどうするんですか?」
幸せそうに赤ん坊を抱くアリスに、牧師は問います。
「まだ考えている途中なんです。ずっと使うものなのでしっかり考えてあげなくちゃ」
そういいながら赤ん坊をあやす姿は正に母親そのものでした。
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「牧師様、私、この子の名前決めました」
そうアリスが言ったのは、赤ん坊が生まれてから約一週間後の事でした。
「何にしましたか」
書類に目を通していた牧師はその言葉によりアリスの方へと顔を動かしました。
「アンナさんが読んでくださった物語の主人公の名をとって、アレンってなずけることにしました」
牧師は驚きました。まさかアンナが本の読み聞かせまでしているとは思わなかったのです。
「とても良い名ですね、バートには話しましたか?」
「お兄ちゃんと話したけど、私がつけていいって言ってくれたんです」
アリスは一息ついた後アランの顔を改めてまじまじと見ました。アリスの目線の先には、とても鮮やかなブルーの瞳があり、母の顔を、じっくりと見つめていました。
この家で子供が理解できるような本は一冊しかありません。牧師はその日の夜、寝室でその本を読んでみることにしました。
『とある昔、とても父親思いな男の子が居りました。男の子は父親が制止するのも構わず父のすること全てについていきました。ある日__』
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話を聞いてくれませんかと、体調の回復しないアリスに強請られたのは雪も解け始め、庭の木も葉をつけてきた頃の事でした。
「どうしましたか」
牧師は届いた数々の手紙に目を通しながらアリスへ問い返しました。
「私死にたいんです」
『死にたい』という言葉が牧師の耳に届いたとき、部屋の空気が凍るのを感じました。牧師は手を止めましたが、振り返り、アリスの顔を見ることはできませんでした。
「どうしてですか」
頭が真っ白となった牧師は何とか声を振り絞りました。そう牧師に問われると、アリスは何かが切れたかのように、淡々と、今まであったことを語り始めました。
「昔、お兄ちゃんが言ってたんです。笑えば何もかもが解決するって、励ましてくれていたんです。でもそんなの?に決まっていて、笑えば笑うほど、酷い目に遭っているのに笑っている自分がとても滑稽に思えて辛かったの」
いつの間にか敬語が抜け、砕けた話し方になりました。
「汚いとこで寝て、厳しい仕事をずっとしているのにご飯も満足に食べられなくて、とても優しくしてくれた人がいて救われた気になっても、その人に身も心も汚され、そんな人との子供だなんて努力しようとしても愛せるわけなかった」
牧師はここでようやくアリスの顔を見ることができました。その顔は想像と反しとても穏やかで、どこか空虚を見つめていました。
「でも兄は私が笑うと嬉しそうな顔をする。兄は私がいなければ生きていけない。そんな中で一人で無責任に死ぬことなんてできなかった」
酷く穏やかな顔でアレンを見つめ、アリスは何かに気づいたかのように驚きました。
「アレンを見ると胸が温かくなる気がする。どうしてだろう」
かなり長い時間、沈黙が続きました。牧師はその場を去ろうとしてもアリスのその表情から目を離すことができませんでした。
「産まれてこなければ良かったのに」
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あの後、アリスは牧師に変なことを聞かせたと謝り、牧師は話しかけられた瞬間鎖が切れたかのように部屋を飛び出し、足早に自室へと向かいました。
その日の夕食、アリスはいつも通りに戻っており、牧師は特に何も言わず、あれは夢だったのだと自分自身に言い聞かせました。
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ある日、アリスはバートに、話があると言い、アレンと果物を持ちながら、部屋へと行きました。
牧師は嫌な予感がしたました。ですがあのアリスの話を聴いた時のことを思い出すと、止めようにも止められないのでした。
暫くすると疲弊しきったバートとその手の中ですやすやと眠るアレンだけが出てきました。
アレンを揺りかごに乗せると、へなへなとそのそばにあった椅子へと座りこみました。
「アリスは死にました」
そう聞いても、牧師は何の感情も抱くことができませんでした。
「その様子からして、知っていたのですね。牧師様」
バートは顔をゆがめ、耳を澄まさなければ聞こえないような声量で牧師に対し自分の罪を吐くかのようにぽつぽつと今までの事と、部屋で起きたことを話し始めました。
「全て僕が悪かったんです。アリスは僕がいなければ生きられないと思っていたんです。でも実際は逆だった……アリスはあの部屋で僕に懇願しました。死なせてほしいと言って……僕はそれを断ることが出来なかった」
アリスが生まれたときの事や、両親が亡くなった時のこと、自分が一番楽しかった時のこと、人を殺した時のことなどを一通り聞き終えた後、牧師は何も言えずにいました。牧師としてあるならば、救いの言葉をかけるべきだったのでしょう。ですが、どれだけ考えても、この哀れな青年を救う言葉など、発することはできませんでした。
「これからどうしますか」
そう意を決し牧師が聞くとバートは覚悟を決めたような表情でこう言いました。
「これ以上迷惑をかけることはできません。今すぐにも出ていきます」
牧師は心配でした。バートがこのまま生き、アレンを育てられるとは到底思えなかったのです。
「我儘なことはわかっているのですが、お願いがあります。ここでアレンを育ててはくださらないでしょうか」
牧師にとって、思わぬ提案でした。住まわせてほしいというならともかく、育ててほしいと懇願されるとは思わなかったのです。
「こちらにも家庭があります。そんなに重大なことを今すぐ決めるというのは不可能です」
「アレンを育てるためのお金は必ず払います。お願いします!アリスの最後の望みなんです」
牧師は迷いました。この重大な赤ん坊の命を背負うことが自分にできるのか。このままこの青年を死なせてよいのか。
「貴方は知っているはずです。肉親が死ぬときの辛さを」
「だけどアレンはまだ幼いんです。まだ間に合います!僕のような汚い人間のもとで育つより、牧師様のもとで育つ方がよっぽどいいに決まってます!」
「逃げるんですか」
そう牧師がバートに言ったとき、バートは驚愕したというような表情を浮かべながら涙を流していました。何故このような突き放すかのような言葉を言ったのか、牧師自身も何故かわかりませんでした。甥から逃げようとするバートに腹が立ったのかもしれませんし単純に、アレンを引き取りたくなく言った言葉なのかもしれません。
ですがこの言葉によりバートはふらふらと立ち上がりアリスの遺体とアレンを抱えながら牧師の家から立ち去っていきました。
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この後バートがどうなったのかは誰にもわかりません。死んでしまったのかもしれませんし、しっかりとアレンを育て上げたのかもしれません。
牧師は自身が死ぬまで、アレンを引き取ってやらなかったことを後悔したそうです。
赤子に罪は無いと
アリスとバート Nekome @Nekome202113
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