番外編

第30話 布団の中に何かいる

 横海です。このエッセイに関連した恋愛短編をアップした時に、ふと思い出した話がありまして。新作アップ記念に書いておこうかと。


 21話で、エイミーが指を切ってわーわーやっていた日。実は何人か泊まったのです、トムの家に。


 泊まったメンバーは、コーチのトニー、キャサリン、A大の学生のフランクとザック、そして私。なお、全員泥酔しておりました……。


 結構な地獄絵図で、キャサリンはひたすら玄関で靴を揃え続けるし、トニーは笑い転げてるし。フランクはでっかい声で話しているし。


 いい加減、夜も更けていたので、寝ようかという話になったのです。


 トムの家は一人暮らしとは思えない作りで。ゲストルームが用意されていました。


 で。ここで何故か、「イチカはザックと同じベッドね」と、トムが促したのです。


 いやいやいやいや。キャサリンでしょう、そこは。(なお、エイミーは帰っていた)


 ザックもなんか嬉しそうだし。

 まあ、あれですね、迂闊に泊まったらいけませんということですね、はい。


 で、そのままゲストルームに案内され、困惑しながら扉を開けると、そこにはツインベッドが。


 ただ……、片方の布団だけ、めちゃくちゃ布団が盛り上がってたのです。


(確実に三人ほど隠れている…!)


 なんと先回りして、ゲストルームの片方のベッドに、トニーとキャサリンとフランクが隠れていまして。しかも、三人で一つの布団の中に。


「ちょっと。隠れてるよね? 隠れてますよね?」


 笑いをこらえながら、そう問いかけると。


「いや、ただの布団です」


「ちょ、いてて、お前もうちょいそっち行けよ」


「クスクスクスクス」


 いや、だから、三人いるでしょ。

 安心したような、可笑しいような、なんとも複雑な気持ちで。ある意味雑魚寝だからいっか、と、ザックと布団をシェアして横になりまして。


 しかし…横になってから少し経つと、また背後に気配が。振り返ると、布団を被った六つの瞳がこちらを向いていたのです。


「めっちゃ見てるやん!!」


 するとまた布団に隠れる大きな子どもたち。


「見てない見てない」


「誰もいないよー」


「クスクスクスクス」


(一人だけずっと笑ってんな…)


 なお、当時フランク20歳、トニー37歳、キャサリン27歳くらい。


 アメリカ人は、遊び心があっていいですね……!

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