第26話 メキシコシティ その1
ちょっと時は戻りますが。一度目の引っ越しの後、ルームメイトと合わず、横海は疲弊しきっていました。
それで、クリスマス休暇に入ったところで、メキシコの友達のところに遊びに(半分逃亡)行ったのです。
このメキシコの友達は、私がアメリカ留学するちょっと前に、カナダに語学研修に行ったときに仲良くなったメキシコ人の子でした。事情を話すと、「いいよ、気晴らしに遊びに来なよ!」と、家に誘ってくれたのです。なんていい人や。
年は忘れちゃったけど、彼女は横海よりちょっとお姉さんで、確か銀行員だった気がする(うろ覚え)。弟くんと、お母様と三人ぐらしとのこと。
彼女の部屋を一室借りて、一週間ほどお世話になることに。
メキシコシティ国際空港に迎えに来てくれたのは、友達のマリアと、その弟のホセ、マリアの彼氏のルイス。ルイスはなんと、190cmもある長身の男性で、最初はちょっとビビってしまった。
メキシコシティからホセの車に乗り、市街地へ。建物の感じが、何というのかな、コンクリづくりみたいな建物が多くて。見慣れない景色にドキドキしました。
おすすめのレストランがあるというので、みんなで行くことに。
壁や天井に彫刻が施された大きなホールがあるレストランで、奥にはステージまで。今考えると、結構いいところを予約してくれていたのかも。
「今日はおごりよ!」というマリアにお礼をいい、メキシコ料理を堪能させていただきました。
だが。やはりここでも、私、見られてる・・・。周りを見渡すと、あっちの席からも、こっちの席からもこちらに視線が。
たしかに、メキシコシティ、周りを見渡しても、ほぼアジア人、見かけないのです。
そして、アジア人はめちゃくちゃ若く見られるので。マリアの解説によると、「16歳位のアジア人の若い女の子が、友達を訪ねに来た」と思われていたらしいのです(当時私は21歳)。
食事がある程度進むと、ステージにはマリアッチ(メキシコの民俗的な楽団のことで、大体おっきなハットのひげのおじさんたちがスーツ来て登場する)が登場。
※マリアッチのビジュアルが知りたい人は、ググっていただくとすぐ出てきます。多分見たことあるはず。(ドンタコスのCMを覚えている方はおりますでしょうか・・)
民族音楽を一曲演奏し終わると、マリアッチのリーダーがスタンディングマイクの前に立ち、スピーチをはじめました。しかし、予想外の出来事が起きたのです。
「本日は皆さん、お越しいただきましてありがとうございます! さて、今日は素敵なゲストがいらしてくださっています。日本からいらした、可愛らしいお嬢さんです! 本日はお嬢さんのために、一曲捧げます!」
みたいなことを言うではありませんかああああ!
その場にいた全員が拍手をし、あちこちから「ピュー!」と口笛まで吹かれる始末。おまけにレストランの人まで、「こちらのスープは、メキシコシティからの歓迎の一杯です。Welcome to Mexico!」とか言って、サービスでスープまで出してくださるじゃあないですか。
うれしい、うれしいけど、大変いたたまれなかった・・・!
この経験のおかげで、きっと歓迎の宴のシーンとかはうまく書けるはず!!苦笑
メキシコシティは、情熱に溢れた、大変優しい、素敵な街だった、とお伝えしておきたいと思います。もはや剣道関係ないがな。
つづく
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます