第14話 剣道仲間たちめ!
前評判通り、二度目の引っ越し先では、ルームメイトに恵まれ、しばらくは静かに過ごせました。
家は広いし、部屋の窓からの景色はいいし、特に不満もありません。ただ、一つを除けば。
その時、毎日のようにつるむ剣道仲間、エイミーがいたのですが、彼女が部屋に遊びにきたときに、何気なく、この家に来てからの疑問をぶつけてみました。
「エイミーさぁ、なんかここにきてから、ずっと視線を感じるんだよね。誰かがずっと物陰から見てるみたいな」
それまでケタケタ笑っていたのに、表情がかたくなり、みるみる視線が泳ぐエイミー。
「あと、なんか、薄寒いのと、変な音が聞こえる時がある」
もはや、完全に目を合わせないようにしてる……わかりやすすぎか。
で、私はまどろっこしいのは嫌いなので、単刀直入に聞いてみたのです。
「ここで、なんかあった?」
私のその言葉を聞いて、誤魔化せないと思ったのか。観念したように、エイミーは、ポツリポツリと話し始めました。
「前さ、ここの家主がまだこの家に住んでた時、みんなで集まってパーティーしようってなって。で、誰かが言い始めたのよ。日本の面白い遊びがあるって」
「で?」
「ヒャクモノガタリ?ってやつ。みんなで怖い話をして、蝋燭を吹き消すの。でね、百話終わったときにさ、写真撮ったんだよね」
「……で?」
「色々影とか人の顔とか、写っちゃっててさ。私も足のところに、子どもの手の跡みたいなのが写ってて、そのあと足怪我したり。それ以来、ここであまりやってない。パーティー」
昔は、幽霊なんかいないっしょ、ビビってるやつ超ウケる的なタイプだった彼女だったが、それ以来、人ならざるものに追われるようになったとのこと。
あまりに続くので、恐ろしくなり、お寺に行って、お祓いをしてもらったらしいのです。
「なぜあんたは私にこの家を斡旋したのよ……」
「え、だって困ってたから☆」
「このやろー!」
つまりこの家は心理的瑕疵物件だったのです。
なお、謎の視線と物音以外、私に被害はありませんでしたし、幽霊を見る機会には恵まれなかったので、とりあえず最後まで住み続けましたが。
いっとき気にしてたときに、ぽろっと両親に話したら、なんと心配した父親が、しばらくリモートで毎日お経をあげていたという……(効くのか?)。
ちなみに、幽霊(らしきもの)とは、エイミーの家に泊まったときに遭遇するのですが、それはまた別の機会に☆
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