第15話 芽美の秘めている気持ち 

美恵子ちゃんに何を教わったのか。

俺は特に気にしながら.....。

戸畑とそのまま別れた。


それから.....俺達は予定通りスーパーへ.....向かtう。

その際に横から腕を絡ませてきた天翔ちゃん。

俺は赤面しながら慌てる。


「.....天翔ちゃん.....その。.....かなり恥ずかしいんだけど.....」


「.....私達は恋のテクニシャンになるって言ったよね。だからこれはまだまだ第一段階だよ。アハハ」


「もー!天翔のあほ!私だってそうしたいのに!」


「ふふーん。こうするの天龍よりも早かったからね」


「兄貴!私も!私も恋のテクニシャンになりたい!」


無茶苦茶だ.....。

思いながら居ると.....遠くに芽美が見えた。

俺は助けを求める様に芽美に声を掛ける。

すると.....芽美もこっちに気が付いたかの様にやって来た。


「どうし.....和奈?.....何やってんの」


「.....い、いや。これは.....その.....」


「.....お兄ちゃん.....逃げないでね」


「.....兄貴♪」


「.....お前ら.....」


ワキワキさせながら俺に縋って来る2人。

2人共マジなやる気で俺を見てくる。

俺はその姿に苦笑いを浮かべながら.....見つめる。

コイツらマジに芽美までスルーしてやがる。

芽美は、ふーん、とジト目だった。


「別に良いけど。何?.....何の用事」


「.....それがその.....助けて頂きたい」


「.....何を助けるの?私は何を助ければ良いの?」


「.....そ、それは.....」


ジト目の芽美。

俺は苦笑して.....対応するしかなかった。

これ修羅場って言うんじゃないだろうか.....。


思いながら.....俺は天龍ちゃんと天翔ちゃんを見る。

落ち着いてくれ2人共、と言いながら。

今は人前だぞ、とも。


「.....まあそうだけど.....お兄ちゃんが何だかイチャイチャしているのが気に入らない」


「.....そうだね。.....それは合点が一致だね。天翔」


「全くもう.....」


そういえば恋のテクニシャンって何?、と芽美が話題を変える様に言ってくる。

それは.....まあ、と言いながら俺は全部説明した。

すると、成程ね、と話しながら芽美は納得する。

じゃあそれで恋のテクニシャンなんだ、と。


「.....でも久々に会えたんだね。.....美恵子ちゃんと」


「.....そうだな。.....かなり久々にな」


「.....今度私も会いに行こうかな。.....戸畑君が良かったらだけど」


うんうん。

良い感じだな、と思いながら俺は芽美を見る。

取り敢えずは.....コイツらを落ち着かせた方が良い様な気がするしな。

よし、と思いながら俺は天龍ちゃんと天翔ちゃんを見る。


「.....取り敢えず今はイチャイチャは無しな。2人共」


「はーい」


「.....はーい」


渋々納得しながら。

2人は、じゃあお菓子売り場見て来る、と駆け出して行った。

助かったよマジに、と思いながら芽美に言う。

芽美は、大変そうだね、と言う。


「.....割とな。.....俺にガチで惚れているみたいだしな。2人とも」


「.....そうなんだね」


「.....どうした?何故.....そんな渋い顔をする」


「.....いや。.....何でも無いけど。.....別に私が悪いから.....」


「.....?」


振ったのは自分だし、と聞こえた気がしたが。

声が小さくて聞き取れない。

俺は?を浮かべながら.....芽美を見る。


芽美は、何でも無い、と言いながら笑顔を浮かべる。

それから、じゃあね。私用事あるから、と言って.....そそくさと去って行った。

俺は、お。おう、と言いながら見送る。


「.....?.....何だったんだ?」


何だか消化し切れない物体でも胃にある感じで。

モヤモヤする感じだ。

だけど.....振られたのは事実だしな。

思いながら俺は踵を返すと。

いきなり芽美に後ろから抱き付かれた。


「.....ちょ!?め、芽美!?」


「.....でも.....やっぱり私は.....!」


「.....え?.....え???」


「.....私は君が好き」


「.....え.....」


俺は、は!?、と固まる。

それは凝固剤でも投与されたかの様に。

何を言っているのか聞き取れない。


今.....何を言った。

俺が好き?

え.....!?


「やっぱり抑えられないね。好きって感情」


「.....は!?お前.....彼氏.....!?」


「.....嘘だよ。それ。.....全部.....嘘」


「.....そんな馬鹿な!?」


何でそんな事をしたんだ!?

俺は思いながら芽美に聞くと。

芽美は、私ね。.....嬉しかった。告白が。.....だけど.....私は貴方に釣り合う様な人じゃ無いと思って咄嗟に嘘を吐いたの。.....でも違った。今日の.....2人の天龍ちゃんと天翔ちゃんの事を聞いて.....告白したいって思ったの、と言う。

それは.....ポツリポツリと雨が降る様に、だ。

小説のページでもゆっくり捲る様に。


「.....嘘だろ.....」


「.....嘘じゃないよ。.....ゴメンね。.....私が馬鹿だったから」


「.....相当に俺はガッカリしたんだぞ。.....勘弁してくれよ」


「.....うん.....だよね。.....だから今度こそは、って思う」


貴方が好きです、と俺を真っ直ぐ見て言ってくる芽美。

それから。

付き合ってくれとは言わない。だけど.....考えを私に集中してくれる事を祈ってる、と言葉をゆっくり発した。

俺はボッと赤面しながら.....芽美を見る。

芽美は真っ赤になっている顔を見られたく無いのか俺の腹に顔を押し付けていた。


「.....でもスッキリした。.....告白出来た」


「.....」


「.....私は.....貴方を横取りする気は無いけど.....貴方を好きって言っているのは年下だけじゃ無いって覚えておいて」


「.....芽美.....」


「.....私だって負けないぐらい貴方が好きだから」


「.....」


それは.....人混みの中だったが。

俺達の間の時間が止まった様なそんな感覚だった。

芽美のその笑顔を見ながら.....俺は。

溜息を吐く。

少しだけホッとしてしまった。


「.....芽美。.....分かった。お前の気持ち受け取ったよ」


「.....うん」


「.....でも俺は1度告白を断られたから.....考えは変わった。.....今は.....何も考えられないから.....御免な」


「.....だから言ってる。.....私は.....待ってないと」


「.....」


期待はしているけど待ってないよ。

と芽美は笑顔を浮かべながら俺を見てくる。

俺はその姿にゆっくり頷く。


それから、有難う。芽美、と告げた。

その中で芽美は、私は何もしてないよ、とはにかんで言ってくる。

まるで土しか無い惑星の足元に花が咲いた様に。


「私は.....君に伝えたかったから。.....大好きだと」


「.....全くお前と言う奴はな。.....ややこしいんだよ」


「.....御免ね。うん」


「.....でも分かった。お前の気持ち」


「.....有難う。少しだけでも胸に秘めてくれたら有難いよ」


「.....ああ」


そして俺は.....芽美と笑みを浮かべて別れた。

それから爽やかな気持ちでお菓子売り場に行くと。

そこで.....お菓子を選んでいる2人を見つけた。

俺を見るなり笑顔を浮かべる。

その姿に俺は手を挙げて応えた。

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