4、愛の世界

第16話 俺の世界と君のセカイ

芽美にいきなり告白された。

俺はその事に衝撃を受けながら.....家路に着く。

その間だがずっとジト目で俺を2人が.....見てきていた。

何かあったねヒソヒソ、的な感じで、だ。

俺は汗をかく。

困ったもんだな全く、と思いながら。


「でもお兄ちゃん。今日は有難う。色々と。お陰でお友達も出来そう」


「確かにな。良かったな天翔。お友達を作るきっかけになって」


「だね。お兄ちゃん」


「友人は作った方がいいよ。俺は後悔ばかりだったから。でも友人が居てくれたお陰で今があるしな」


そうなんだね、と言いながら俺を見る天翔ちゃんを俺は笑みを浮かべて見る。

それから重い荷物を肩に掛け直しながら歩く。

すると天龍ちゃんが核心に迫ってきた。


「兄貴。もしや芽美さんに告白された?」


噴き出した。

当たり前だが、だ。

それから咳き込みながら天龍ちゃんを見る。

天龍ちゃんは目からハイライトが消えている。

ホラーかよ!、と思いながら正直に告白してみる。

確かにそうです、と言いながら。

するとまたヒソヒソと2人は会話し始めた。


「マズいね」


「私達のお兄ちゃんが取られる」


「確かにね」


「どうしよう」


そんな会話が聞こえるんだが.....。

俺は真面目に困惑しながら苦笑する。

すると2人は俺にニコッとする。

そして、お兄ちゃん。何処かに出掛けない?、と言ってきた。

俺は?!と思いながら見る。


「私達の兄貴だからね?一緒だよね?」


「は.....う、うん。確かにね」


「お兄ちゃんは何処にも行かないよね?」


涙目で言われた。

俺はその事に耐えきれず答える。

ですです!、と言いながら、だ。

すると途端に2人は笑顔になった。

それから、だよねー、とか話す。


「お兄ちゃん。何時迄も私のモノだから」


「ずるい!アタシのモノ!」


「落ち着けお前ら!」 


俺は盛大に溜息を吐く。

それから手を左右から引かれる。

笑顔の2人に、だ。


俺は少しだけ苦笑いな感じだったが。

まあいっか、という感じだった。

コイツらが良いなら良い。

そう思いながら、だ。



結論から言って俺達は遠出する事になった。

俺は溜息を吐きながらも。

まあ兄貴だしな、と思いながら納得した。


すると夕方。

俺の部屋のドアが開いた。

それから天龍ちゃんが顔を見せてくる。


「兄貴」


「ん?どした」


「えっと.....今度、授業参観があるの」


「ああ。そうなんだな」


「だからね。えっと。兄貴に来て欲しい」


「え?何故!?」


「だってお父さんも義母さんも忙しいみたいなの」


だからね、と言いながら俺をチラチラ見てくる天龍ちゃん。

俺はその事に、分かった、と頷いた。


それから天龍ちゃんの頭を撫でる。

天龍ちゃんが望むなら、と言いながら。

パァッと顔が思いっきり明るくなる天龍ちゃん。


「以前はお父さんが忙しい時が多くて.....有難う!兄貴!」


「.....!」


「兄貴。やっぱり優しいね」


「.....そうだな」


確かにそうだな。

翔さんは忙しい時が多い様だった。

俺は思いながら眉を顰める。

そんな時もあったんだな。やはり、と。

考えながら天龍ちゃんの頭を撫でる。


「天龍ちゃん。頑張ったね。天翔ちゃんと同じ様に」


「だってアタシはお姉さんだから。耐えたよ。12歳だから!」


「だな。確かにな。お姉さんだ。偉い」


「でも昔は寂しい時もあった。.....兄貴。兄貴に出会って良かった。アタシ」


満面の笑顔。

俺は何もしてないんだが。

ただ自分の意思で行動しているだけだ。

思いながら俺は笑みを浮かべてから天龍ちゃんを見る。

すると天龍ちゃんが、兄貴、と言ってきた。


「何だ?」


「.....このままキスしても良い?」


「!?」


「兄貴が好き。だから.....」


赤くなりながら俺を潤んだ目で見てくる。

でも、キス、という言葉に。

また俺は眉を顰めてしまう.....。

俺はそれから首を振った。

そして真剣な顔をする。


「駄目だ。キスは好きな人同士になったらしよう。今は出来ない」


「アタシは好き!兄貴が.....だからキスは.....」


「天龍ちゃん。気持ちは有難い。だけど俺は君の事はまだ愛しい義妹としか思ってない。ゴメンな。それでキスとかやるのは駄目だと思うんだ。本当にゴメン」


「分かった。.....ゴメンなさい。兄貴」

 

かなり悲しい感じで俯く天龍ちゃん。

俺はその様子に、でも、と告げる。

それから笑みを浮かべた。


君が俺を好きなこと。それは大切にしたい、と話してみる。

すると天龍ちゃんは目を輝かせた。

それから、うん、と頷く。


「兄貴。急ぎすぎた。.....待ってる。私に振り向いてくれる事を」


「有難う。天龍ちゃん」


言いながら俺は笑みを浮かべてから。

そのまま天龍ちゃんの手に手を添える。

それから笑みあった。


好きな気持ちというモノ。

その答えは.....まだまだだな。

そう思いながら。

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