第6話
艶やかな髪の目は凛としているさらりとした表情のえくぼの少女は目を落とししずくを零した。
「どうしたんだい?」
「ううん。何でもないの」
少女は本当に何でもなかったのだ。というより目にゴミが入った事で涙を流したのである。
「海が見たいの」
唐突に少女はそう言った。
少女の名前はかくりきこであり、薄力粉のように一瞬聞こえなくもなかった。
「おいおい、どうしたんだよ」
「どうもしないの」
「私の名前が薄力粉に似ているから少し感傷に浸っていただけ」
彼女は憂いを帯びた仕草で言った。
「確かに似ていなくもない。というより実際にはとても良く似ている。肉じゃがとじゃが肉ぐらい似ている」
「じゃがにくと言うのが私にはよく分からないわ」
「俺も分からない」
「いや、お前もかよ」
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