第5話 洗剤
「今から出発式を始めます。礼」
いつものように校長先生の長い話を聞いた後、バスに乗った。ぼくは窓側の席に座り、隣の席には丸木くんが座った。丸木くんはいつも目立っているためか、隣のぼくではなく他の人と話していた。
「もうすぐ着くから降りる準備をしておくように」
目的地に着いた。まわりを見渡すと山だらけで、近くの草を見るとたくさんの虫がいた。ふだんの学校とは大違いで、少し不安になった。
着いてすぐに班ごとでカレーを作ることになった。ぼくの班は6人班だった。班を仕切っていたのが向佐さん、道具を運んできてくれたのが村田くん、野菜や使った道具を洗っていたのが三和さん、野菜を切っていたのが村田さんと矢久保さん、そして火を消さないようにするのがぼくの仕事だった。ただ火の前にいるだけなので、仕事が終わった村田くんと話していた。
「いただきます!」
カレーが完成した。食べてみると本当に美味しかった。野菜はちょうどいい大きさでルーも濃く美味しかった。ご飯は、ぼくの火加減の調節がうまくいかず、おこげができてしまった。しかし、おこげがあることによって新しい食感が生まれていた。みんなで作る料理がおいしいということを知ることができた。
みんな食べ終わり、片づけの時間になった。ぼくは片づけるところがなかった。班の人を見ると、三和さんが1人で食器洗いをしていて大変そうだったので、一緒に食器洗いをした。
「南野くん、手伝ってくれてありがとう」
「全然大丈夫だよ。ぼくの仕事なかったから」
ぼくはあまり女子と話したことがなかったため、どんな話題を出したら良いのか分からなかった。食器の洗剤を取ろうとして、三和さんと手が触れてしまった。
「ごめん、三和さんから使っていいよ」
「ありがとう…」
その時、ぼくはどうしたら良いのかわからなかった。
「南野くん、やっぱりなんでもない…」
三和さんに何を言おうとしたのかを聞こうとしたとき、村田くんが来たため聞けなかった。
その後、村田くんが手伝ってくれて早く片づけが終わった。
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