第3話② 共同作業 唯side

「霧島ちゃんと前コラボした時は少ししか喋れなかったから今日はたくさん話したいな〜」


茶髪ショートの背が小さい女の子が呟く。PCが置いてある机には可愛い人形がずらりと並べられており、いかにも女子というのが見て取れる。その人形の近くにはエナドリによりギャップが際立つ。


「あの子ほんと可愛いなぁ」


 霧島と会ったことがない唯は同じ事務所とはいえ、まだ視聴者と似たような目線で考えていた。


「オフコラボで会う時はオシャレしなきゃね」


 ディスコードに霧島から電話がかかる。配信前に少し喋る約束をしていたからだ。


「美冬ちゃんこんばんは〜!」

「………っ!」

「こんばんは………」


 唯の声に驚いたのか霧島の声が小さい。


「驚かしちゃったかな?」

「いえ、大丈夫です。あと5分で配信開始しますよ」

「じゃあサーバー入るね。美冬ちゃんはもう入った?」

「はい」


 唯は霧島の口数が少ないことに気づく。


「私は『マジクラ』経験者だから手取り足取り教えてあげるよ。だから楽しくやろうね!」


 その言葉で霧島は不安だった気持ちが少し楽になった気がした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る