第3話 共同作業
「皆待たせた。『ヒーリング』所属の霧島だ」
待機画面からゲーム画面に移った。ゲーム画面の左端に霧島、右端に唯がいる。
「こんゆい〜。『ヒーリング』所属の甘神 唯だよ〜」
「今日はゆいゆいと『マジクラ』をやっていくぞ」
順調に始まったように見えたが、山元はまだ気を抜けられない。霧島の喋り方がまだ固いように聞こえる。やはりゲーム配信コラボの前に一度は話し合わせておくべきだったかと思うが中々2人の予定が合わずこの日が来てしまった。
「ゆいゆい。この木ブロックってどうやって壊すの?」
「素手でも壊せるけど、魔法で壊すほうが楽にゃ」
「一回素手で壊してみようかな」
霧島が一生懸命木を殴っていく。
「この木ブロックで建築するのか?」
「そうだよ。建築以外にも魔法の杖や舟とかも作れるようになるにゃんよ」
「面白いな!ならもっとブロック集めよう!」
唯と霧島が建築を進めていく。そうしてゲームに夢中になっているとお互い徐々に慣れていき、自然な会話ができるようになっていた。
「あれって何?」
包帯を身体中に巻いている人間の形をした何かが森の中を徘徊する。
「ミイラにゃ。ピラミッド周辺に湧くモンスターなんだけど、あそこにいるってことは近くにピラミッドがあるかもにゃ。美冬ちゃん、さっき作った魔法の杖であれと戦ってみるにゃ?」
「戦います!」
霧島は杖を装備し、ミイラに近づく。遠くから魔法を放つが全く当たらない。そしてMPが尽き、攻撃手段がなくなり、どうすればよいか分からなくなり戸惑う。ミイラはついに眼前まで近づき、霧島を襲う。そして襲われた霧島は倒れ、立ち上がった時にはミイラになっていた。
「ゆいゆいごめん。ミイラになっちゃった」
「大丈夫にゃんよ。この聖なる粉をかけたら元に戻るにゃ」
唯が聖なる粉というアイテムを使うと、元の人間に戻った。
「ミイラ取りがミイラになるって言うけど、本当にミイラになっちゃうにゃんてね」
「申し訳ない」
それから唯にフォローされながらミイラを倒した後、家を一緒に作り始めた。
「霧島ちゃん家デザインうまいね。このキッチンとか本当に住めると思うぐらいの完成度にゃん」
「パーツの一覧見た時に、キッチン作れそうだなって思って」
「凄いにゃん!私内装作るの苦手だからこんなクオリティーで作れるの憧れるにゃ!」
新しい才能が分かり、視聴者も「うめぇ!」「クオリティーたっか!」など好評なコメントがたくさん画面に流れる。山元も『マジクラ』をしているがこれほどの発想力はないので驚いていた。
「今日は美冬ちゃんのおかげで楽しかったにゃん!また遊ぼうね」
「こちらこそ楽しかったです。『マジクラ』の2人の家良いの作りましょう!」
コラボ配信は2人の仲の良さや霧島の新しい才能も発見でき、とても良い配信になった。山元も見ていて楽しかったあまり、ディスコードで「良かったよ!」と配信終了後にすぐメールを送る。
ふと時計に目をやると配信開始から約2時間も経っていた。予定では1時間弱だったのに2人とも楽しくて時間を忘れていた。山元はまだ晩ご飯を食べておらず、時間を気にした途端お腹が鳴った。
「体に悪いからあまり食べたくはないけど晩飯はソロリーメイトにするか」
玄関に置いている栄養補助スナックのソロリーメイトが入った箱を開け、一つ、二つと口に入れる。明日はちゃんとしたのを食べようと誓って頬張る。腹を満たし、寝る前に連絡が来ていないか確かめると、メールに一件の通知があった。それは社長からのものだった。
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