第13話 服選び

………超絶気まずい。何でって……、何この地獄。


「治君?早くしようね」

「やだぁ」

「やだぁとか、可愛い声出してないで早くしろ」

「怖いよ光」


もう良いや。プライドとかついてきた(無理やり連れて来らされた。なんで朝から呼び鈴を鳴らす………。)時点で捨てたも同然だし。


ということで、並べられた女子用の服を着てみる。……、不覚にもぴったりなのが腹立つ。


「良い?」

「うん。早く顔だけじゃなくて全体見せて」


というので、試着室のカーテンを開ける。


「はぁぁ、やっぱやめだ。やめ」

「何で…?」

「恥じらうな。女子を殺す気か!?」


なんか、無茶なこと言い出してるんだけど。


「治…、ごめんな?」

「鴻は謝るんじゃなくて助けてよ!」

「いやぁ、これは、無理だな」

「え…?そんなに似合ってない?」

「逆だよ。治」


逆?え……じゃあ何?似合ってるの?確かにサイズはぴったりだったけども。


「似合いすぎてて女子の立つ瀬がない、かな。これは」

「ちょっと店員さん呼んでくる」


ということで、それから店員さんを引き連れた光がやって来た。


「え~っと、失礼ですが、男の子、ですよ、ね?」


店員さん困惑してるじゃん。どうしろってんだ。このカオス。


「そうですけど」

「じゃあ、ちょっとお待ちください。適当に見繕ってきますので」


………、え?ん?暴走……した?終わったな。僕。


案の定、それから数時間にも渡って、光と店員さんの着せ替え人形になっていた僕でした。

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