第7話 特に何もない平穏な夏休み

そこからは、課題をしたり、本を読んだり、学校の水泳に行ったり…と、充実はしている日々だった。……花火、綺麗だったなぁ。1回だけ、スイーツバイキングの列に並んでいるときだけは奇異の目を向けられたけど、まぁ、それはそれだ。


「治斗~?ちょっと手伝って~?」


……また、なんか面倒事かな。


「何?」

「これ。出してきてよ」

「……、何これ」

「大学のレポートかな」

「自分で行けば良いじゃん」

「面倒じゃん」

「だからって、僕に頼まないでよ」

「はいはい。じゃあ、後で自分で行ってきますよ」


「………あぁ。そういえばだけど、明日僕いないから」

「あれ?なんか用事あったっけ?」

「まぁ、ちょっとね」


昨晩のこと。クラスメート兼ライバルである火賀美 光(かがみ ひかる)が「鴻にサプライズしたくて、準備したいから明後日これる?」と、連絡をもらったのだ。別に用事もないので、承ることにした。


「珍しいね。治斗がそういうことするの」

「そうかな?」

「うん。いつも、勉強と読書くらいしか真面目にしないのに」

「そんなこと……」


ないとは言い切れない、か。我ながら若干悲しくなってきた。


「まぁ、そういうことだから」

「分かったよ」


課題は終わったし、本格的にやることがなくなったので、予定が入ること自体はありがたい話なのである。じゃないと、運動不足が加速する。

そんな日常生活を送っていることを今更ながら見直そうかなと思い始めた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る