第3話 魔力を調べましょう

「チヒロさん…いいお名前だ。僕は用事が済むまでしばらくかかるので、もしかしたらまた会えるかもしれませんね!それでは…」

セバスチャンさん…ハンサムなのは顔だけにしておくれよ…

去りゆく背中にもう一度、お礼の言葉を投げかけた…


(さてさて…さっそく私の才能を見せてもらおうか)

窓口のお姉さんに近づく俺は実に上機嫌…

顔面は極限までニヤつき、いつの間にやらオードリーの春日ばりに胸を張っていた。


「すみませーん!ここで魔力を測れると聞いたんですがぁ!」

「…はい?あ、ちなみに冒険者証明カードはお持ちでしょうか?」

「証明カード?いえ、持ってないです」

「魔力を測るためにはカードを作成する必要がございます。いかがされますか?」

「おっと、私としたことが先走ってしまいましたねぇ…己の力に気を取られ!HAHA!」


カードとやらを作れば知れるのであろう?

俺の魔力が!適性が!

お姉さんが多少困惑しているので話を進めようと思う。


「というわけで、早速カードを作ってもらいたいんですが…」

「あ、はい。では、こちらのパネルに、左右どちらでもいいので片手を乗せてください」

「こうです…うおっ!?なんか光りましたよ!?大丈夫ですかこれ…」

「はい、人体に影響はございません」


お姉さんがそう言うと、パネルから3センチほどの小さな正方形の紙が出てきた。


「それではカードをお作りします。魔力はこちらでそのまま測定しましょうか?」

「はい、それでお願いします」

「では少々お待ちください」


お姉さんにそう言われた俺は、ひとまず窓口の目の前にあるソファに座った。

早く知りたい…この俺がどれほどの実力者なのか…ふふふ…


「チヒロ・ナトリさん、お待たせしました」

「はーい!」

さてさて、一体なにを伝えられるのか…


「こちらがカード、そしてこちらが診断結果になります。依頼はあちらのボードにいくつかございますので、冒険に出られる際はどうか念入りにご準備ください」

「あ、はい」

「それでは、良き冒険者ライフを…」


もっとこう…なんですかこの数値は!とか、こんなステータス見たことない…とか、そんな風になるかと思ったんだけど…

まぁ、それは別にいいや。診断結果こそが一番大事…

結果の書かれた用紙に目を通した…のだが…


みずひかりやみ…)

五角形のグラフに、上から時計回りにそう表記されていた。一番長けた属性をグラフで表しているそうだ。

ここはやはり光か闇、そうだろう?


光と闇、どちらも低かったのである。

呆れるほど、低かったのである。


では火と水はどうなのか?光と闇がダメでも火の魔法や水の魔法くらいなら使えるはずだろ?


ところがだ。俺のすがるような期待も虚しく低かったのである。光や闇と比べると少しだけ数値は高いものの、グラフの大きさからしてまだまだ低い。


だがそれ以上に目を引くのは「他」と書かれた属性である。

この属性だけグラフが尖りに尖っている。それどころかグラフの範囲から大きくはみ出している。

他の4つがダメでも、これはもしかして…

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