第6話 宇宙電子工学研究室にて
ジュリアーノ教授の部屋は、不在、の標識が点灯していた。マルセリーノは、宇宙電子工学研究室へ行ってみた。今日は休みの日なのか研究員達は誰も居なかった。然し、研究室の扉にロックが掛かっていなかったということは、誰か一人くらいはいるはずだ。マルセリーノは小さな電子機器が並んでいる実験台から、更に奥にある大型の電子機器が並んである研究室に向かって声を掛けてみた。
「おーい、誰もおらへんのー。誰かおるんやったら返事してほしいなぁ」
すると奥にある大型の装置の中から声がした。
「はーい、これ終わったら行きまーす」
暫くすると大型の装置の間からヘルメットを被ったペンギンが現れた。
「あのね、ジュリアーノ教授、探してんねんけど」
「あ、それ、私です」
果たしてヘルメットを脱いだペンギンはジュリアーノであった。ジュリアーノは改めて声を掛けてきたペンギンを見ると、
「いやーお久しぶりではないですか、統括教授」
「いやいや、久しぶりすぎて申し訳ない、で、これ」
そう言うとマルセリーノは、しらすの豪華詰め合わせセットを片方の空いている翼で指した。
「何んですかそれは? そんなお気遣いは無用ですよ」
「何言うてんの、数年前の無茶なこと考えたらこんなもんで済まへんやん」
「過ぎた事は無しにしましょう、ささ、私の部屋に行きましょう」
そう言うとジュリアーノは実験台に取り付けてある水道で翼の先を軽く洗うと、マルセリーノを自室へと招くように黄色い短い足で歩き出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます