第4話 入学式

毎回思うことがある。それはもうどうして入学式ってこんなにも長いのだろうということだ。


入学生のために頑張ってくれた先輩方の歌はいいけれども、どうしていろんな人が10分、20分話をするのだろうか?


台本があるからと聞いたことがある。その台本に自分のオリジナルを挟みこむことによって、10分もの話が20分、30分にも膨れあがるのだろうと思う。


迷惑極まりないことだ。下手にオリジナルを加えるから生徒の集中力を奪って、良い話も1000分の1も頭に残らないのだ。今まで本なので培ってきた文章能力、歳を重ねて得た経験を武器に、話をしてもらいたい。話というのは、人の心に響かないと意味がない。


このようなことを考えながら過ごしていた。

だが、ここの入学式は過酷であった。最後の方に話す人の話がとても、とても長かった。

30分?40分?そんなレベルではない。4時間29分もあった。まるで、どこかの国の人の演説のように長かった。



朝の7時に始まった入学式が、5時30分になってやっとで終わった。周りの人達は、終わったと言う達成感、安堵感、疲労を噛み締めながら退場が始まった。



最初に見るのはクラス分けだ。全部で、1組~4組までの4クラスあった。私は、その中のDクラスであった。



次に、30分以内で校内見学をして下さいという命令を先生から受けた。しかし何故か、僕は違った。



「山見アカリさん、校長室に来て下さい。」


こうアナウンスされた。

校長室への行き方がわからなかったので、学校を右往左往することとなった。






すると突然声を先輩のような人からかけられた。

「もしかして道がわからないのですか?」

なぜ、敬語で言うのだろう?

そう疑問に思いながら即座に答える。

「はい、そうなんです。校長室の行き方がわからなくて。」

「校長室は、あっちですよ。」

なぜか、必死で笑いを堪えているような感じで答えた。

「はい、わかりました。ありがとうございます。」

丁寧に応答した。相手にもそう聞こえただろう。なのに、なのに、どうして声を上げて笑っているのだろう?そんなに、そんなに私の丁寧な態度がおかしいの?

「もしかして、校長先生に用があるのですか?」

「はい、そうですけど。」

なぜかさらに笑われた。

とってもイライラする。だけどここは落ち着こう。入学当日から問題は起こしたくない。

先輩らしき人に、ありがとうございます、と言ってこの場から立ち去った。ちょっとの怒りと悲しみを交えながら。







「校長先生に用なのか。もしかしてさっき私が放送で呼べと言った子かな?多分そうだろう。」


そう言って少女らしき人物は、話をした場から離れていった。

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