第13話想定外!
そして翌日。
朝早くにマイルームに届いた氷やシロップを配達バッグに詰め込んで、100均で買い揃えた器やスプーンを押し込んで、カフェで店の前で路上販売する時に使っていた屋台やテーブル、椅子を店長から貰ってきたやつを捻じ込んで……うん、配達バッグより明らかに大きいものが吸い込まれるように入っていくのはまだ違和感が半端ない。
ちなみに店長はオレが屋台やテーブルなんかを引き取ると言ったら大喜びだったよ。ああいうのって処分代もなかなかバカにならないし、渡に船って感じだったんだろうね。
それから、温かい焙じ茶を大量に作って魔法瓶やジャグやヤカンに用意する。
サエちゃんにヤカン貸してって頼んだら変な顔をされたけど、まあ、気にしない。
このお茶は、食べ終わった食器を返却してくれた人へ紙コップでサービスするつもりだ。
よく、海外だと食器をそのまま持ち帰ってしまったりするっていうニュースを聞くからその対策というのもあるし、冷たいかき氷を食べたあとに温かいお茶は心身ともにホッとさせてくれてお客さんの満足感もアップするんじゃないかと踏んでるんだよね。
準備万端、忘れ物は……OK。
それではマジリハへレッツラゴー!
いつものように歩いて町に入り、確保していた屋台スペースに向かうと、何やら人だかりが。なんだ、あれは?
そんなことを考えてると、その中の1人が手を振りながら走ってきた。
あれは……ポーシャか。
「おはようポーシャ。あれ、なにかあったの?」
「はぁ、はぁ……。おはようございます店長。あ、あの、早く来てください。甘い氷菓が信じられないくらい安く食べられると噂が広まったみたいで、みなさんもうだいぶ前から集まっちゃってるんです」
「え……じゃあ、あれ全部お客さん?」
「串焼きのオジサンが、いろいろな人に触れて回ったみたいで……」
マジっすか。あのオヤジ、宣伝してくれるのはありがたいけどやりすぎだろ。50人近くはいるぞ、あれ。
それに、あれだけいたら配達バッグから屋台やテーブルを出すこともできない。
どうしたものかなあ。
あ、そうだ。
「ポーシャ、悪いけど孤児院に行って手の空いてそうなのを何人か呼んできてくれるかな?」
「え? あ、はい、分かりました」
「院長さんにもちゃんと断ってね。手伝い賃は多めに出すから、何人か貸してほしいって」
「分かりました。あの人数じゃ、さすがにわたしたちだけじゃ無理ですもんね」
そう言うと、ポーシャはダッシュで走り出し、程なくして5人の男女を連れてきた。
みんな手伝い賃がもらえると聞いて、やるき満々だから頼もしそうだ。
「よし、それじゃあまずはこの荷物を運ぶぞ」
「「「はい!!!」」」
戻ってくるまでのあいだにこっそり取り出しておいた屋台や道具をみんなで運ぶことしばし。
その間にも何事かとどんどん人が集まってくる。
開店、急いだほうがいいかな。
「とりあえず、ポーシャは注文を聞いてお会計担当で。オレと男子チームは作るの担当な。機械が1つしかないから順番に交代で、手の空いてる時は列の整理。女の子たちは、食べ終わった容器を回収して、お茶を渡してあげて」
「「「分かりました!!!」」」
オレの指示にみんな一斉に返事をしてくれた。
スタッフのやる気も充分、お客もたくさん。
さて、いっちょー始めますか!
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