第14話 友達を捜して

 友達を捜している。あっちこっち教室を見て回るけど、いない。ケイちゃんとマアちゃん。学校が終わったら、一緒に遊びに行くはずだった。別に約束はしていなかったけど、昨日もその前もそうだったから。


 結局二人は見つからなくて、先に帰ろうかと思い、廊下の窓からぼんやりと夕焼けの空を眺めている。他のみんなも、だいたい帰ってしまった。


 カラカラとドアの開く小さな音がして、まずケイちゃんが、続いてマアちゃんが廊下に出てきた。私は嬉しくなって


「どこに行ってたの? 捜したんだよ」


 と二人に駆け寄った。もう遊びに行くには遅すぎたので、三人一緒に帰った。



 あの時私は満面の笑みを浮かべていたはずだけど、二人は笑っていなかった。ケイちゃんとマアちゃん。二人は困惑の表情を浮かべ、お互い顔を見合わせていた。私を仲間外れにして、二人だけで遊びたかったのかな。


 もう何年も前のことなのに、一人暗い部屋でベッドに横になっていると、そんなことばかり思い出す。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る