名案

「─ ねえ」


 香奈さんは、掴んでいた英里華さんの手首を引っ張りました。


「たとえ番号が同じでも…いっぺんに使わなければ良いんじゃない?


 1つの店で、1枚だけ使えば良いんだよ!」


「…」


「うん。香奈ちゃん賢い♪」


「……1万円使う場合は、10店舗を回ると。


 で、同じ店でもう1回使う場合には、用心で1週間ぐらい開けて──」


「かなり、面倒くさい気がするねぇ。。。」


「─ 因みに、1日10店回って1万円分使うとして、使い切るのに1億日掛かる」


「それって…何年ぐらいなの?」


「273972年と220日」


「─ 使う前に、不老不死の魔法を探す必要があるねぇ」


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「だったら!」


 香奈さんの手が、英里華さんの手首から離れます。


「番号以外には本物なんだから、機械に入れちゃえば!」


「ATMに入金するとか、電子マネー化するとか?」


「これなら、直ぐにマネー・ローンダリングできちゃうよね! なんて、名案なんでしょう♪」


「…100枚つづ入れるとして……1万回かぁ。


 頻繁に大量な千円札を入金する人間って、なんか怪しまれそうな気がする。


 で、それがきっかけで…札を見比べられたら──」


「全部同じ番号だから…通貨偽造で捕まっちゃう?」


「ああ言う場所には 絶対カメラとかあるから、身元バレする可能性も高いかもだし」


「うー」

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