検討

「英里華ちゃんには、いないの?」


 魔物の前に、コーヒーで満たされたポットを置いた後。


 ふたりは別室に移りました。


「宝石とか金の延べ棒とかを貸してくれる知り合い」


「…いない」


「そっかぁ」


「あんたには?」


「残念ながら、香奈ちゃんにもいない」


「まあ…仮にいても、『あなたの持ってる宝石を一晩貸してください』って、頼みたくはないけど」


「それ、明らかに怪しい人だね」


「複製した宝石を換金する時に、騒ぎになる未来が予想できるし」


「『何であんたが、私が貸した宝石と同じものを持ってるの!?』って?」


「私なら…『フェイクと入れ替えて、売ろうとしたんでしょ!』って 絶対に問い詰めるね」


----------


「…ねえ」


 香奈さんが呟きます。


「貴金属じゃなくて、お金とかでも良いんだよね?」


「確かに。」


「英里華ちゃんの財布には、1万円札とか入ってないの??」


「千円札1枚しか、入ってない」


「や・く・た・た・ず」


「─ じゃあ、あんたが出しなさいよ」


「私のお財布に入ってる一番高額なお金は、500円硬貨でーす」


「── それで、人を役たたずとか 非難するか?」


「えへ☆」


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