15-4 謝罪と後悔
「未咲、儂は未咲が月夜見様だと思ったのだ」
「え? はい、えっと、さっきそう言ってましたよね」
ふいに脈略のないことを言い出す正芳を、未咲は
「だから、未咲がこの村に留まってくれるよう、知っていることを隠してしまった」
未咲は言葉を失った。正芳が何か隠していることは察していたけれど、まさかそんな理由だったなんて。
「今思えば、浅はかなことだ。月夜見様の御加護ほしさに、未咲の自由を奪おうなどと」
「でも、おばあちゃんのことも、鬼のことも、教えてくれました」
「それこそ、儂が愚かであったのだ。悪にもなり切れぬ、半端ものであった」
ああ、そうか。未咲は悟った。
正芳には正芳の
「すまなかった」
正芳が深く頭を下げた。未咲は慌てて頭を上げるよう
「ぜ、全然、わたしは大丈夫です! 正芳さんの村を大切にしている気持ちもわかってますし、わたし、本当に気にしていません!」
そう未咲が言っても、顔を上げた正芳の表情は暗いもので、未咲は言葉を続けた。
「それに、わたしだって、正芳さんたちの優しさに甘えて、元の世界に戻る方法もろくに探せていなかったというか……自業自得だし……その」
「未咲は優しいな」
申し訳なさそうな表情をして微笑む正芳に、未咲はぐっと言葉を詰まらせた。
「ち、がいます。わたし、優しいとか、そんなんじゃない。情けないけど、口では色々と言える癖に、行動が伴わないというか。自分では覚悟してるつもりだったり、前に進んでるつもりだったりしたけど……でも、
未咲はあはは、と空笑いした。胸がざわざわとして、何処か焦ったように、早口で喋り続ける。
「他人に対しても、嫌われたくないって思って、相手に合わせちゃう時もあるし。何て言うか、そっちの方が楽だったりもするから。あ、そう……楽な方に逃げがちっていうか、ほんと、情けなくて」
「未咲」
正芳はそんな未咲を見て、柔らかく名前を呼んだ。未咲はぴくりと反応して口を閉ざす。
「自分をそう
「え……」
「未咲自身のことは、未咲が納得出来ればそれで良いのだ」
まるで御神木の下で感じる風のように、優しく包み込んでくれるような笑顔だった。未咲は声を出すことも出来ず、じわじわと涙が込み上がってくる感じがして、ごくりと唾を飲み込んだ。そうしないと、またぼろぼろと泣いてしまいそうだった。すん、と鼻を鳴らして、へにゃりと笑う。
「優しいなあ、おじいちゃん」
「ははは! 普段からそう呼んでくれても構わんぞ」
正芳は明るく豪快に笑ってみせた。未咲も釣られて声を漏らして笑う。
「それと、未咲は強い」
「そう、でしょうか」
「そうだとも。自分のことをそれだけわかっているのだ。自分の弱さや欠点を理解している人間はな、その弱さが表に出てきた時に自覚が出来る。そうして、考えることが出来る。自分の弱さをどう受け入れ、どう立ち向かうか。未咲はそれが出来る強い子だと思っているよ」
「ま、正芳さあん……」
未咲は情けない声を出して目を潤ませた。泣くまいと思って
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