執務室で思案していた石橋の目の前の電話が鳴った。

「例の組抗争事件の続報ですが、

して病院に搬送されていた容疑者が姿を消しました。

姿を消したと思われる時間に病院内で停電が起こり、

その混乱に乗じて逃走したものと思われます。

停電は恐らく逃走の為に意図的に仕組まれた可能性が高く、

現在容疑者の行方を追っていますが、未だ見つかっておりません。

進展がありましたら又連絡します。」

「わかった。ごくろう。」

「いい知らせを待っている。」

受話器を置いた石橋は容疑者が逃走した事をさほど気にしていない様子だった。

狙われたのは組関係者だが単純な組同士の抗争とも石橋は思っていなかった。

派手だったのは確かだが、事件の構造自体は組対組でない事は早急に見抜いていた。

曲がりなりにも警察官の勘は石橋にも働いた。

「まあ、奴に比べれば可愛いモノかもしれないが。」

さて、そろそろ真田に指示した捜査の状況でも聞いてみるかな。

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