石橋が真田に森園から指摘された捜査を指示してから三日目の昼前、

ネットラジオのプログレッシブロック専門チャンネルを聴きながら

バーボンを片手にゴロワーズの芳香を楽しみながら森園は思案していた。

今までに石橋から依頼された事件には必ず何らかの匂いが見えてきたのだが

今回はイマイチそれが見えてこない。

まあまだ材料が足りないだけなのかも知れないが。

しかしそれは退屈しなくても済む事を意味しており

少しばかり高揚している自分がいた。

「ははっ。」いやあ面白いな。森園は笑った。

是非とも笑いが止まらない位の謎であって欲しいもんだな。

これからの展開が楽しみだ！

少女が居なくなったというのに面白いと笑うのは不謹慎と捉えられかねないが、

倫理的な事はさておき森園は本能的に感じ取っているのかもしれない、

彼女の命が別状ない事を。

まあそろそろ石橋からの報告も挙がってくるだろうからのんびりと待とうか。

そうだ！以前に国内では手に入れる事が出来なかった為に、わざわざ石橋に頼んで入手してもらったエジプト煙草シパヒを開けてみるか。

煙草をしまってあるクローゼットに向かって歩きだしたとき携帯の着信音が鳴った。

YesのHeart of Sunriseである。

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