第7話 受け継がれる太古

長く深い眠り。

凄く心地良い暖かい温もりに包まれた彼女は深淵の海の底から覚醒と言う名の、

眩い光の地上へ向けてごくゆっくりと浮上していた。

彼女にとっての覚醒とは太古の昔の前世から現在の未来へ、

既に刻まれている宿命と共に彼女の新しい始まりを意味していた。

その刻はとても近い。

絶対的な象徴である存在として復活、生誕する日が。

これは継がれなければならない宿命なのだ。

彼女のDNAに刻まれた役割を果たすべく異能の存在として目覚めた時には

過去の記憶は恐らく引き出される事は無いだろう。

少女は深淵から浮上しながら

これまでの自身への愛情を注いでくれた両親へ思念を送った。

必ずしも届くとは限らない感謝の思いを込めて。

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