第22話 詰みっす

「ほーれドカーン!よいしょ、ドカーン!!」

「ぐっ、調子に乗りやがって……!!まずい、そろそろ町の出口だぞ……!?だが、どうすることも出来ん……」

「ふっふーん!観念しろー!そろそろ終わり……—————あれっ?……あれ?」

「…………?」

 空音の顔がサァーっと青くなる。


「な、無い……」

「……!!は、はは……!はっはっは!!散々この俺を虚仮にしてくれたが……残念!ちょっとばかし足りなかった様だな!!」

「や、やばばば……琴葉さん助けてえー!!」




 ———その頃、私とオビエは。

「なんか空音に呼ばれた気がする……」

「え!?ピ、ピンチでしょうか……!?」

「いや、ただの勘だけど……」


 町から少し離れた木陰で休んでいた。回復ポーションの存在をオビエに指摘され、顔を赤らめながらも走って来たのだ。

 いやあ恥ずかしかった。マジで。

「私の事はいいから、先に行って……!」なんて言っちゃってやんの。もう死にたかった。


「それにしても遅いですね……。もう爆発音はしなくなったのに……」

「う~ん、やっぱり何かあったのかな」




 ———そして、ミストタウン内では。

「はははは!立場が逆転したな!」

「ひぃー!ごめんなさい!もうしませんからー!」

 アクアスと空音による壮絶な追いかけっこが繰り広げられていた。


「このクソガキめ!悪い子にはしっかり罰を与えてやらんとな!」

「もう反省したって!もう反省、猛反省!なーんちゃって!」

「反省の色が見えんな!五月雨・流し打ち!」

「ぴぎゃーー!!」

「空音さん、危ない!えーい!」


 次の瞬間、オビエが空音を突き飛ばし、降り注ぐ雨の弾丸から守った。

「ふう……。大丈夫ですか?」

「オ、オビエー!死ぬかと思ったよー!」

「足りなかったかー、ポーション。ごめん」

「いやいや、謝ることないって!」

「!!チッ、貴様らの事を忘れていたか」

「忘れるなんて酷いなあ。一応あなたをあと一歩のところまで追いつめたのに」

「フン……。だが、もう無理だろう?確かに俺は切り札であるこの町の水をほとんど失ったが…………それでもお前達を殺すには十分だ」


 そうなんだよな……結局ふりだしに戻った。それにもうこいつに勝てるほどの余力は残っていない。

「琴葉…………なんか作戦ある?」

「無いね。詰みっす」

「ですよねー……」







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