第23話 その時、彼女に何が起きたのか

 もうダメかも……。頼みの綱のアイテムもほとんど使い切っちゃったし、体も限界。そして敵は目の前。状況は絶望的だ。

「よく頑張ったぞ……。まさかここまで追い詰められるとは思ってもいなかった。……もう、終わりがな……」

「そうだね、認めるよ。私達が敵う相手じゃなかった。……強かった。あなたは」

「こ、琴葉……」

「琴葉さん……」

「仕方ないよ。私達の身の丈には合わない様なクエストだった。ただそれだけ」

「……そろそろいいか?」

「うん。……でも…………イタチの最後っ屁、受け取ってくれる?」

「ゴロ!ゴロ!ゴロ!…………」

「……うむ。この痛み、しっかりと覚えておこう。お前達の事は忘れない」


 その時私に、空音がポンと肩を叩いて、

「ごめんね、私がこんなクエスト……」

と言いかけた瞬間。


「———え?ほわああああ!!ちょ、ちょ、ちょ、何これえええええ!?!?」

 私は超高速で雷魔法を連発し始めた。

 もちろん自分の意思でやった訳では無い。


「なっ……!?貴様、汚いぞ!騙して……ぐあっ、何だこの連発速度は!?シャレにならんぞ……!?」

「え!?い、一体何が起きてるんです!?」

「ぬああああ!!卑怯な!こんな手を隠し……ぐおおおお!!!」

「うわあああ!!と、止まらなっ……!」

「バ、バカなっ……!?この俺が、やられるのか!?こんな事で……!!」

「ぐっ……!!もうどうにでもなれえー!はああああ!!」

「がああああ!!」




 ———そして私の雷魔法によって、アクアスは消滅した。

「勝っ...た、んですか?私達?……琴葉さん、魔法はもういいですから、状況確認を……」

 しかし、私は依然として雷魔法を連発したまま。


「琴葉さん?」

「ねえ……止め方分かんないんだけど」

「……へ?」

 そして私が放った雷は、町を破壊し始める。


「うわわわーー!!ちょっと、オビエ止めてええー!!町が滅んじゃう!」

「む、無理ですよおー!てゆーか私達のせいでもう町はほとんど滅んでるようなもんじゃないですか!」

 ……まあ、そう言われりゃそうか。

「空音さんも、黙ってないで何か言ってくださいよ!」

「..........」

「ちょっと空音、何やって…………し、死んでる……?」

空音は、私の肩を掴んだまま意識を失っていた。


「えっ、し、死んで……!?一体何が起きてるんですか!?もうパニックですよお!!」

「お、落ち着いて、オビエ!ひとまず空音を!」

「あ、は、はい!空音さん、しっかり……!」


 オビエによって空音の手が肩から離されると、次の瞬間。

「わっ!と、止まった...!!」

「……え?ほんとだ……です。ということは、琴葉さんが魔法をありえない速度で連発した原因は……」

「……空音?」




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