大賢者の初期魔法遊記

第19話 閃き

｢そ、そんなのって……どうやって戦えばいいの？｣

｢……分からない。でもとにかく、ここを離れないと｣

｢離れるって、どこに……？もう町中アクアスの攻撃範囲でしょ？｣

｢…………。そう……だね。もう終わり。逃げ場なんかない。オビエ、あなたは逃げて。助かる可能性があるのはオビエだけだよ｣

｢そんな……2人を置いて行けませんよ！｣

　　　　　　　ザバアアアッ！！

　巨大な水流によって、私達がいる民家の屋根と壁が吹き飛ばされる。

｢はっはっは！その顔が見たかったぞ……！わざわざ王都への襲撃に使う予定だった奥の手を使った甲斐があったというものだ……｣

アクアスが満足げな表情を浮かべながら話す。

｢お前達はただでは殺さん。じっくりといたぶってからだ。俺が受けた屈辱の分だけな……｣

　そう言って再び姿を消した。

｢だってさ……。できるだけあっさり楽に殺して欲しいところだけど、それもしてくれそうにないね｣

｢琴葉……。一応聞くけど、あの人みたいに転送の魔法は使えないんだよね？｣

｢残念ながらね。私が教えて貰ったのは、魔法の基本的な…………———！！そうだ……！｣

｢どうしたんですか？｣

　閃いた。たった一つだけ、この状況を打破する方法を。……でも、可能かどうか……。

｢！！？うううッ！！｣

｢琴葉！次の攻撃が！！｣

｢ふっ、ふう、はあ……！次は脇腹……！！いい趣味してるねまったく……｣

　可能かどうかは分からないけど…………やっぱりやってみるしかないみたいね……。

｢そうです、回復ポーションを……！空音さんも！｣

｢いや、ごめん。ちょっと協力して貰ってもいいかな？あいつを倒す方法……一つだけ思いついちゃった｣

｢……！！へへ……もちろんいいよ。このままじゃどうせ死んじゃうし。いい作戦思いついたんでしょ？｣

｢まあね。だいぶイカれてるかもしれないけど……いいかな？｣

｢わ、分かりました！出来ることなら何でもします！｣

　私は2人に作戦を告げる。

｢———は、はは……！天才なんだか大バカなんだか……でも、なんかいけそうだね！！｣

｢ええ！いけますよ！やりましょう！｣

｢よし……それじゃあいくよ！作戦開始！！｣

｢うん！｣

｢はい！｣