第17話 もはやテンプレ?
「あああんもうなんなんだよおおお!!何で効かないんだよおまええええ!!!」
もはや魔王軍幹部の貫禄などすっかり失ってしまったアクアスが、子供の様に地団駄を踏む。
……これはチャンス。
「空音、オビエ、一旦引くよ!」
「えっ!?このタイミングで!?」
「どうしてですか!?」
「いいから!ダッシュダッシュ!!」
「わ、分かったよ!しっかり掴まって!」
慌てて空音に駆け寄り、しがみつく。
「さ、流石にきつ……!!ふんぬー!全力全カーイ!」
いくらなんでも2人は無理があったかも。
「———はっ!に、逃がさん!」
アクアスが再び体を液状に変化させ、追ってくる。
「離岸流・引込水!」
そして追いつく事は不可能だと判断したのか、大量の流水を放ってきた。技名からして、食らった相手を引き寄せる技だろうか。
……ならば。
「おわー!!やばいの来てる!琴葉どうにかしてー!」
「任せて!サンド!サンド!サンド!……」
私は土の魔法を連発し、大量の砂を創り出する。そしてその砂は、アクアスが放った水によって泥となり、そのままアクアスの下へと…………
「なっ!?ちょっ、ちょっと待っ」
ドサアアッッ!!
アクアスは自らが引き寄せた泥に埋もれた。
「す、すごいです、琴葉さん!天才です!」
「ふふ、まあそれほどどころじゃないかな!」
「はあ、はあ……!!こぴぃ~、こぴぃ~……。わ、私も褒めてよ~……」
———私たちはひとまず塔から抜け出し、遠く離れた民家に隠れた。
「さて……。あいつを倒すには、何か作戦を立てないと」
「作戦っていってもね……。あれにとどめをさすには相当な火力がいるんじゃない?」
「そこなんだよね。決定的な火力が足りない……」
「う~ん…………はっ!そういえばオビエ、さっきアクアスの攻撃全然効いて無かったよね!もしかしたら、隠してるだけでめっちゃ強いとか!?」
「ええっ!?いえ、そんな事は……無いと、思いますけど…………」
「ちょっと冒険者カード見せて!」
「は、はい」
「どれどれ、私にも……ん?」
攻撃力28、防御力5万6783、すばやさ194、体力83…………
こ、これは……。
「オビエも偏ってるじゃん!はははは!私たち仲良し偏りトリオー!いぇーい!」
「いぇ、いぇーい……!」
「いやいぇーいじゃないよ。もはやこの展開、テンプレと化して若干飽きちゃってんのよ。てか火力不足解決してないし……」
———と、その時。
「ぬああああああ!!殺すううう!殺してやるううう!!どこへ行ったあああ!!!!」
「「「あ…………」」」
完全にプッチンいっちゃってるアクアスの叫びが町中に響き渡った。
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