第13話 道中、水の都


 ———翌日の朝。


「……みんな準備はいい?」

「うん!オールオッケー!」

「はい!ばっちりです!」

 私たちは、ついに討伐クエストへ向かうことにした。

 魔王軍幹部、アクアスが占拠したのは、ストラストのすぐ近くの町……ミストタウン。その名の通り水資源に恵まれていて、世界一の水道設備を誇り、町の至る所に噴水があるという。いかにも水属性の幹部が好きそうな町だ。


「はあ……それじゃそろそろ行きますか」

「いぇーい!全速音速マッハでゴー!!」

「何そのかけ声……。相変わらず楽しそうで何よりだけど」

 ……そして私たちはミストタウンへの移動を開始した。


「な、何だかぼく……震えてきちゃいました。ほんとに今から戦うんだなあって……」

 オビエが震えながら言う。

「そんな様子で大丈夫か?大丈夫だ、問題ない」

空音はいつも通り……いや、何だかいつもよりテンションが高い。

「1人で何言ってんの……そうやってテンション高いやつが真っ先に死ぬんだからね」

「はーはっは!私は不滅だー!!ブゥン!」

 ……もうこのバカは放っておこう。逆に死なんわ。

「こ、琴葉さんは冷静ですね……?」

「そう?まあクッソうるさい空音がいなかったら私もガクブルだったろうけど……」

「ふっふふー!まあ私がいないとなーんも出来ないもんね、琴葉さんは!」

 褒めたつもりは無かったが、調子に乗らせてしまった。

「そう言えば、何でオビエは私たちのパーティーに来てくれたの?もっといいパーティーあったでしょ?」

「いえ……。誰も私みたいに小さくて弱っちいのなんか入れてくれなくて……もう冒険者になるのも諦めかけてたところで……」

「えー?こーんなに可愛いのにー?」

「ひゃうんっ!?……きゅ、急に抱きしめないでくださいよ~♪」

 ……やっぱりかわいい。

「へんたいだー!ふしんしゃだー!へんたいふしんしゃだー!」

 こんな空音とは大違いだ。


「あっ!つ、着きました……!」

「ふう、着いちゃったかあ……。怖いけどここまで来たらしゃーない、やってやろうじゃないですか!」

「その意気だぞ琴葉!」

 こうして私たちは、水の都ミストタウンへと足を踏み入れた。

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