第12話 修行と別れと謎の関係


 ———その翌日。


「うんうん、もう十分魔法が使えるようになったわね~!」

私は初期魔法を完全に使いこなせるようになっていた。

「ありがとうございました!一時はどうなる事かと……」

「いいのよ♪私も人に魔法を教えるのは新鮮で楽しかったわ~♪」

 ……結局この人は何者なんだろう。少し気になるが、あまり深掘りはしないでおこう。悪い人では無さそうだし、大丈夫だろう。


「そういえば、昨日あなたと一緒いた、小さくて可愛いお仲間の名前はなんて言うの?」

「えっ?ああ、えっと……記憶喪失で、本当の名前は覚えてないって……。私たちはオビエって呼んでます。」

 それを聞くと、何故かルーラさんは少し悲しそうな目をして。

「……そう。記憶喪失なのね。」

 そして、魔法の詠唱を始め……


「それじゃ、お仲間の元へれっつご~♪」

「……え?ほわあああ!」

 私は、光に飲み込まれてストラストへ戻った。


 …………急に転送するのは本当にやめて欲しい。

「あ、ほんとに来たー!!」

 目の前には空音とオビエがいた。


「え?な、なんで?」

「私が魔法で知らせておいたのよ~♪」

 ……ほんとに何でも出来るなこの人は。


「どなたか存じませんが、うちの子を育ててくれてありがとうございました!」

「あんたは私の親か」

「ふふ、仲がよくていいわね♪それじゃ、私はこの辺で。あっ……そこの、オビエちゃんだったかしら?」

「え?は、はい……」

「いい?あんまり仲間を心配させないでね?絶対に、無事でいること。」

「……?わ、分かりました……!」

「うん、いい子いい子~♪」

と、ルーラさんがオビエの頭を撫でる。


「ひゃんっ!……えへへ、何だか分からないけど、ほわほわして気持ちいいです……」

「うふふ、それは良かったわ~♪それじゃ、また会うその時まで……じゃあね~♪」

 ルーラさんが光に包まれる。


「あ、あのっ、私の名前、藍町琴葉っていいます!ありがとうございました!」

 私が今まで言い忘れていた名前とお礼を慌てて言うと、ルーラさんは何故か少し迷ったような顔をして言った。

「ん~と……ふふ、もう知ってるわ」

 と、めっちゃ気になる言葉を残し、光と共に消えていった。

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