第5話 大賢者の相棒は

「えっ……どういうことですか?初期魔法しか使えないって.……」

「いや、そのままの意味ですよ……あなたは初期魔法以外の高度な魔法は使えません……」

 え?ちょ、え?なに?どゆこと?


「あ、あの……初期魔法しか使えないって、今後他の魔法が使えるようになる可能性は……?」

「ないですね。もう魔術師になるのは諦めた方がいいでしょう」

 露骨に冷たくなったお姉さんに、絶望的な宣告をされる。


「えっ...?え?え、え?」

「魔術師は無理と言っても、ステータスは完全に魔術師向きなんですけどね。そのせいで、他の役職も厳しいかも……」

 嘘でしょ……?ないわー、この仕打ち……

普通測定不能の魔力とか持たせといて、初期魔法しか使えない?バグでしょ。バグであれ。


「ぷッ!!琴葉、おもしろ性能にも程があるでしょ!」

「な、なにを……!笑い事じゃないでしょ!」

「まあまあ、私が超とんでもステータスで無双してあげるから安心しな!お願いしまーす!」

「はあ……残念ですが、仕方ないですね。はい、この水晶に手を置いてください。」

「はーい!ふんふーん♪」

空音がウキウキで水晶に手を置く。


「あんまり期待しない方がいいよ。悲惨な目にあうかもしれないから」

「経験者は語る」

「やかましいわ」

 水晶が赤い光を放つ。……あれ?さっきは青色だったのに……。

「赤色に光ったということは、紅葉空音さんは物理攻撃型冒険者ですね」

「え?そんなの決まってるんですか?」

「はい。青色なら魔法攻撃型、緑色なら支援型冒険者になります」


 なるほど……私は魔法攻撃型だから青色に光ったというわけか。

「えっと、紅葉空音さんのステータスは……」

 お姉さんが再びメガネをかける。


「攻撃力……え低っ。50?防御力は……1!?」

 空音はそれを聞くと、「えっ」と小さな声を漏らし、ぼーっと何かを考え始めた。

 ……これは。


「……ププッ!」

「!!!」

 だいぶ面白い事が起きているようだ。


「笑ったあー!!今、琴葉が私の事笑った!!親父にも笑われた事ないのにい!」

「だって防御力1って……赤ちゃんでももうちょいあるんじゃないの?」

「なんでよもお!!」

「私を笑った罰だよ、ぷぷ!」

「重すぎない!?ちょっと笑っただけでこんな重い罰受けるの!?」

「え、ええと……次に行きますね。すばやさが……」

 と、次の瞬間。


      ピピピピ……!!!


 ……ん?これってまさか……。


        ボンッ!!


「きゃああっっ!?また!?」

「お?お?おお!?このパターンは!!」

「すばやさが、測定不能……です……」

「よっしゃキターー!!!」

 もうどうなってんのこれ……。

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