第6話 世界の現状
「……ステータスの測定はこれで最後になります」
やっと終わった……もうすでにおうち帰りたいんだけど。
「それでは、異世界からやって来たお二人にはこの世界の現状を説明させて頂きます。現在人類は、ここストラストを王都とし、現国王であるフィル・シェファイ王の下で、1つの国の民として暮らしています。」
うわ、何かまた長そうな話始まっちゃったよ……。
「そしてあなたたち冒険者に課せられた使命は2つ。強大な力を悪用し、世界中を恐怖に陥れている者……いわゆる魔王の討伐と、魔王に奪われた土地の奪還です。」
あー……やっぱりこの世界にもいるんだ、魔王。いろいろとデタラメな世界だからワンチャンいないかと思ったんだけど。
「魔王は数多くの手下を従えており、その数は人類の総人口を遥かに上回っています。なにせ1つの国を作ってしまうほどですから……」
「じゃあ魔王軍じゃなくて魔王国じゃん!ププッ、ちょっとダサいね!」
「黙って聞いてて。それに魔王もわざわざそんなダサい国名になんてしないでしょ。」
「えー……コホン。魔王の手下の多くは魔物……怪物であり、一目見ただけでそれと分かります。しかし、まれに人の姿をし、言葉を話す者がいます。そして彼らはとてつもない力を持っており、大変危険ですので、十分お気を付けください」
いわゆる魔王軍幹部ってやつか。
「これで説明は終わりです。冒険者登録お疲れ様でした。……それではどうぞ偉大なる冒険の旅路へ!……と言いたい所なのですが……」
……ん?何だか嫌な予感がしてきたんだけど。
「分かった!辺りに強い魔物とかがいて、冒険することが出来ないんでしょ!それなら私たちがちょいちょいっと倒してあげるよ!」
また空音がとんでもない事を言い出した。
「え!?あの厄介な魔王直属の幹部、アクアスを討伐して頂けるんですか!?」
お姉さんの驚きの声に、ギルド中がざわつき出す。
「ちょ、ちょっと!まだ相手がどんな敵かも分かって無いんだよ!?それに魔王軍幹部とか無理だって!」
「へーきへーき!天才ゲーマーの私にかかれば、魔王軍幹部の1人や2人倒すくらいヌルゲーよ!」
空音がそう言った瞬間、うおおお!とギルド中から歓声が上がる。
「ありがとうございます!それでは、敵の情報をお教え致しますね!」
「えっ、い、いや……」
やっぱり無理です、と言おうとして、お姉さんのキラキラした瞳に遮られた。
「はい……お願いします……」
……こうして、私たちの初クエストは、まさかの魔王軍幹部の討伐となった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます