第2話 大賢者の目覚め
それから、一体どれくらいの時間が経ったのだろう。
(目を……覚まして……は…………から……あなたは……ない……選ば……賢者……)
私は、どこか聞き覚えのある声で目を覚ました。
「ここは……?」
辺りを見回すと、まるでRPGの世界の様な町並みが広がっている。
「えー!どこここ!?なにここ!?」
辺りに、隣に座っている空音の声が響く。
「これって私たち、ほんとにゲームの世界に入っちゃったの...?」
「そ、そう……かも……ね」
この状況には、常に楽観的な空音も流石に動揺しているようだ。
「すっごーーー!やば!!テンションぶち上げ~!!」
……違った。
「何でそんな楽しそうにしてんの。私たちもう戻れないかもしれないんだよ?」
「え!?……それはそれでアリじゃない!?」
もうダメだこの娘は。
「で、これからどうすんの。どうやって元の世界に帰るのか、見当もつかないけど」
「ふっふ~!それならゲーマーの私に任せて!こういう時は、まず、周りの人に話を聞くの!」
「ゲーマーとか関係なくみんなそうでしょ」
「じゃあ、あの人に聞いてみよー!」
空音は、そう言って博識そうな老人に話しかけた。
「すいませーん、遠い国から旅をして来たので、この辺りの都合が分からないんですけど……」
空音にしては賢い聞き方だ。異世界から来ただなんて言ったら怪しまれてしまう。
しかし老人は、何故か怪しむ様な強い口調で、
「遠い国...? それは一体どの辺りかな?」
と訊く。
「えっ……いや、いわゆる異世界ってやつで…………あっ」
それにビビった空音が思わず本当の事を言ってしまった。
……これはまずい。 こういうゲームの世界では、怪しまれるとあっさりお縄になってしまう事も多いのだ。
しかし老人は、それを聞くと安心した様に、
「ああ、異世界からか。それならそうと言ってくれれば良かったのに。それなら、まず冒険者ギルドに行くといい。そこで冒険者登録をするんだ」と優しく教えてくれた。
「ど、どうも!ありがとうございます!」
空音は、小走りで私の下に戻ってくる。
「どういうこと……?空音が異世界って言った瞬間急に優しくなったけど」
「まあ教えてくれたんだしいいでしょー!結果おーらい!」
「さっきはビビってたくせに……」
老人の態度に違和感を感じつつも、私たちは冒険者ギルドに向かうことにした。
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