告白

 来てくださったんですね。待ってました。


 先輩、これから私は告白をします。


 いえ、正直に言います。


 告白であり、懺悔です。






 中学生の頃、私とあなたには関りがありました


 関り、と言っても本当に些細な事なんです。


 …委員会で一緒だったという。


 もちろん、一目惚れなんて軽いものではないんです。


 真面目に話を聞いてくれたり、一つ下の学年である私にも気を使ってくれたり…


 優しくて真面目なところが、好きになったんです。


 ……なのに、幼馴染ってだけで当たり前みたいな顔で隣にいるあの人が許せなかった。




 高校に入って早々、私が告白して、自身が想像よりモテる所をわからせようとしました。


 自分に好意を持ってくれている人がいれば心境が変わるんじゃないか。


 そう思ったから。


 …でも、あなたは変わらなかった。


 絶望しました。


 あなたは私の事を、覚えてすらいなかったんですから。





 次に私の中で芽生えた感情は、嫉妬でした。


 羨ましい。


 私だってあの人の横に居たい。


 イチャイチャして、一緒に帰って、冗談を言い合って……


 これだけ望んでいるのに、これだけ好きなのに。




 それから私は、あの人の悪い所を探すためにあなた達の尾行を……いいえ、正直に言います。


 ストーカーをしていました。


 …当然、許されるとは思っていません。


 あなたにしか正直に言えていない所も、本当に悪いと思っています。




 ……探せば探すほど、あなた達の仲の良さを倍々で痛感するんです。


 羨ましい。


 私にはあの人と同じ場所には行けない。


 でも、諦められない。


 私にはあの人のようにしゃべることが出来ない。


 でも…それでも、諦められない。




 ……結局、何も悪い所が見当たりませんでした。


 私のストーカー行為は、何もできず、ただ辛いまま、大胆な事なんか一つも出来ずに終わりかけた。


 だから最後に、最後のあがきであなたに都宮葵のみんなの印象を伝えてやろう……そう思ったんです。


 「貴方じゃ吊り合わない」「でも、私がいる」


 そう言いたかったから。





 調査をすると、皆口をそろえたように、性格が良い、顔が良い、頭が良い、運動神経が良い。


 と言います。


 そして、誰もあなたを見ていない。


 みんな、都宮葵に夢中なんです。


 




 でも、わかったんです。


 例外もなく貴方……平塚清木さん、あなたも。


 都宮葵しか、目に入っていない。


 わかってしまったんです。


 私の事なんか、記憶にすら残っていない。


 って。









 だから、許されない私の、告白で懺悔なんです。


 ごめんなさい。


 本当にごめんなさい。


 それでも貴方が好きです。


 好きなんです。


 ごめんなさい。

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