🎬テイク4
(!! 達也君、私の助けに気付いてくれたんだ)
「ありが……、うぅ、と……」
声にならない暗い小さな声で言う。今の自分は普段の自分とは違い人前で大きな声で喋ることが出来ない。これも一種の病気なのだろうか。コミュ障なのかもしれない。私は多くの難題を抱えている。
それにしても達也君なんで私を助けてくれたのだろう。私が前を見ないで歩いたばかりに怖い人たちにぶつかってしまった。その瞬間を見た達也君は見て見ぬふりをしてどこかに行ってしまった。
その時私は目で訴えかけた。助けて、と。自分でもなんで助けを求めたのかわからない。でも、達也君なら、そう思った。そうしたら達也君は助けてくれた。今目の前で私の手を取り、彼は前を見て歩き出す。私も真似て前を向いて歩く。今後ろを向いたらあの人たちと目が合いそうで怖かったからだ。
それでも達也君の背中、安心感がある。身長は私と数センチしか変わらないけど(達也君は169センチくらいかな、私は161センチだ)、その差は見えないもので拡大されている。
私と達也君はショッピングモールの隣にある公園のベンチに腰かけた。
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