第3話 帰路 2
あぁぁぁぁ....かれこれ30分ぐらい経っただろうか。まだ、見知らぬ女子Bと言い合いをしている。何のことで言い合いしてたっけ....?
「なぁ、そろそろ何で、こんな時間にこんな場所いるのか教えてくれないか。女子B」
「ええ、いいわよ。男子B(バカ)。もし話しても、笑わないでくれる?」
「ああ、笑わないから話してくれ」
俺がそういうと、女子Bは口を開いた。
『妹に、帰って食べようと楽しみにしていたメロンパンを食べられたのよ』
「(うわっ、しょうもねぇ.....)」
『しょうもないって何よっ!』
(やべっ、心の声が出てしまった)
いや、メロンパンなんかどうでもいいだろ。だってメロンパンだぞ。まぁうまいけど。
『わかる?この悲しみが。学校から帰ってきて、食べようと楽しみにしていたメロンパンがないのよ!それを食べるだけのために今日を生きてきたと言っても過言ではないわ!嫌な授業を受け、嫌な数学教師に宿題をだされ、ボロボロになった私を治す唯一の薬であるメロンパンがないのよっ!あなたもわかるでしょ!!』
うん、わからないわ。
そんで、しょうもないわ。
それより、メロンパン好きすぎるだろこいつ。なんだよ『唯一の薬であるメロンパン』って、なんだよ。でも、ここで反対の意を示したら、また、言い合いが始まってしまう。肯定的な意見でも言っておこうか。
「おお、わかるぞ、その気持ち。辛いよな。帰ってきてあると思っていたものがないのは。俺も母さんに俺が買ってきたシュークリームを勝手に食べられたことがあるぞ。お前の気持ち、よーくわかるぞ」
ひとまず適当に肯定してみたが、どうだ?
『その通りよ!わかっているじゃないあなた。あると思っていたものがないっていうのが一番辛いことだと私は思うの!』
返しは良かったみたいだな。コイツなんだか上機嫌になってないか?それと、あると思っていたものがないことが一番辛いことではないと思うぞ。
あっ、そういえば
「なぁ、そんなにメロンパンが食いたいなら、メロンパンいるか?さっきそこのコンビニで買ったんだよ」
『いるっ!!』
女子Bは、物凄い勢いで近づき、言ってきた。
コイツ、情緒不安定かよ。
「じゃあ、やるよ。メロンパンを恵んであげた偉大な俺に感謝しながら食べるんだぞ」
『ええ、わかったわ!感謝しながら食べるわ。ありがとっ!!』
と、女子Bは満面の笑顔でそう答えた。
ふいうちで、その笑顔はやめろ。こっちが照れるわ。
じゃあそろそろ帰るか。もう晩ご飯は終わっていると思う。温め直してもらう母には申し訳ないが。
「じゃあそろそろ帰る。それを食べてさっさと家に帰れよ。親御さんも心配するだろうから」
『ええ、食べてから家に帰るわ。メロンパンありがとね』
こんな素直なら、コイツ、メロンパンさえあれば簡単に誘拐されるんじゃないか?
「おう、じゃあちゃっちゃと帰れよ」
『うん、またね!』
女子Bと公園で別れ、我が家へ早足で帰宅した。名前を聞いてないけど、まぁ、もう会うことはないだろうな。
すまんな母さん、晩ご飯温め直してくれてありがとな。
晩飯を食べた後、いつも通り風呂に入り、ゲームやネットなどをし、寝床についた。
あっ、やべ...宿題やってねえわ。
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