第2話 帰路 1
コンビニで某漫画雑誌を読み終えた俺は、なにも買わずにコンビニを出るというのは流石に申し訳ないと思い、メロンパンとミント味のガムを売り場から取り、レジに持っていった。
『ピッ、お会計は、230円になります』
メロンパンの値段はまぁそれなりの値段だと思うが、ガムって何気に高いよな。ガムってほぼプラスチックで、食べ物じゃないんだよなぁ、たしか。プラスチック食べるってなんだよ。しかも、飲み込まずに捨てるっておかしいだろ。
そんなことを考えながら店員にお金を払い、支払いを済ませ、店を出た。
店を出ると既に夜の7時を時計の針が差していた。
「やばいな、愛する母さんの晩ご飯に遅れてしまうな。急がねば」
うちはあまり時間にうるさくなく、門限などない家庭だが、遅くに帰宅するのは気が引ける。わざわざ冷めたご飯を温めなおしてもらうのも申し訳ない。さらに、うちの母が作るご飯はどれもおいしいのだ。まずいと感じたことは覚えている限りない。さっき「愛してる」など言ったが、本気ではないぞ。家族間の愛の表現みたいなものだ。と、まぁペチャクチャペチャクチャうちの家庭について話したが、どうでもいい話だ。やめにしよう。
いつも通り同じ道を歩いて我が家へと帰宅していると、ある光景が目に入ってしまった。
「めずらしいな」
いつも人がいない公園のブランコに黒い何かがいる。目を凝らしてみると、制服を着ており、おそらく同い年ぐらいの女子高生であろう人がいた。なぜ、こんな時間に女子高生一人、ブランコに座っているのだろうか。ふと、そんなことを思ってしまった。女子高生と呼ぶのは少々めんどくさいので、女子B(ブランコ)と名付けよう。
声をかけようか、かけまいか。どうしようか。小一時間前に人に優しくしたら、彼女ができる云々のはなしを陽介としたばっかりである。明日から少しだけ優しくなろうと先程決めたばかりなのに、もう破っている。まぁ明日から少しだけ優しくなるというのを今日から優しくなるというのは神様もおこらないだろう。だっていいことだからな。俺はそう思う。物心着く前に死んでしまった祖父の『人に優しくしなさい』という言ったかも、言ってないかもしれない言葉を信じ、女子Bに話しかけた。
「こんばんは、こんな時間になにしているんですか、女子Bさん」
(あっ、やべ、女子Bって言ってしまった。)
『えっ、何ですかいきなり。不審者ですか。てか、女子Bって何ですか』
なんか、女子Bめっちゃキレてんだけど。えっ、こういうのって、女子が男に対して、『すみません、気を遣わせちゃいましたかね』とか優しい言葉を返してくれるもんじゃないの?
そんなことを小さい脳みそで考えていると、
『用がないなら、どっか行ってくれませんか』
と、女子Bが突き放すように言ってきた。正直、まだ人生経験の少ない高校1年生には、その言葉はきつい。普段人にあまり優しくしない俺が珍しくわざわざ話しかけてやったってゆうのに、この態度は何だ。あれ?ちょっとイラッとしてきたな。
「あのさ、女子Bさんよぅ。せっかく見ず知らずのあなたに普段あまり人に優しくしない俺が、めづらしく優しくしたっていうのにそんな態度はないだろぅ。このバカ、俺の善意返せ!この泥棒!」
『はっ?なに言ってんのよ、バカっていう方がバカなのよ!あんたの善意なんかもらいたくてもらったんじゃないわよ!勝手にやって、勝手に後悔してるだけじゃない!それと、さっきから女子Bって何なのよ!私に、謝れこのバカッ!』
「はいはい、謝ればいいんでしょ。すいませんでしたー」
『何なのよ、その謝り方は。棒読みじゃない。ちゃんと頭下げて謝りなさいよ!』
「頭下げればいいんでしょ。すいませんでしたー」
『だからっ!ちゃんと丁寧に謝りなさいよっ!「すいませんでした」って!だいたいあなたは・・・・・
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