ファーストコンタクト

休憩室に戻り、机の引き出しを探す。

鍵のかかった机はすぐに見つかった。

まずは一段目を開ける。


ガチャガチャ


鍵を開けると、一冊の冊子が入っている。

表紙の右下に『3』と書かれていた。


一枚ペラッとめくると、相手の全身写真が載っていた。

(これが体験相手か。確かにクールな感じだな。モテるんだろうなぁ。)


次のページからは基本情報が書かれている。

名前、年齢、職場(仕事内容)、性格、交友関係…


(この人、彼女いるんだ。へー、見てみたいな。)


結構な情報量だったので、この冊子は持ち帰ることにした。


次に二段目の鍵を開ける。


ガチャガチャ


携帯電話が入っていて、その下に紙が一枚あった。

『この携帯電話は一度だけ使用可能です。擬似体験中に困ったこと等があったら、登録1の番号に電話をかけて下さい。』と書いてある。


一回だけか。

使うタイミングはちゃんと見極めないとな。


冊子と携帯電話をテーブルの上に置く。

あとは交換相手と電話をするだけ。


時計は13時55分を指してる。あと少しでいよいよ初会話だ。段々と心拍数があがってきた。






休憩室に戻り、机の引き出しを探す。

鍵のかかった机はすぐに見つかった。

まずは一段目を開ける。


ガチャガチャ


鍵を開けると、一冊の冊子が入っている。

表紙の右下に『4』と書かれていた。


一枚ペラッとめくると、相手の全身写真が載っていた。

(この人が擬似体験の相手か。明るそうな感じだな。)


次のページからは基本情報が書かれている。

名前、年齢、職場(仕事内容)、性格、交友関係…


結構な情報量だったので、この冊子は持ち帰ることにした。


次に二段目の鍵を開ける。


ガチャガチャ


携帯電話が入っていて、その下に紙が一枚あった。

『この携帯電話は一度だけ使用可能です。擬似体験中に困ったこと等があったら、登録1の番号に電話をかけて下さい。』と書いてある。


使うタイミングに気をつけよう。

一回だけしか使えないしな。


冊子と携帯電話をテーブルの上に置く。

あとは交換相手からの電話を待つだけだ。


時計は13時45分を指している。






時間になったので内線1を押し『真山湊さん』に電話をかけた。


プルルル プルルル…


「はい、もしもし。」

「はじめまして!京野仁志と言います!」

「はじめまして。真山湊です。よろしくお願いします。」


「いやぁ、それにしても擬似体験ってどんな感じなんですかね。全く想像がつかないですよね。普段緊張するタイプじゃないんですけど、さすがに緊張しましたよ。」

「そうですよね。私もこういうの応募するタイプじゃないけど、勢いで応募したら受かっちゃいました。人生何があるか分からないですね。」

「そうですね。知らない事はまだまだ世の中にあるのかもしれませんね。」


「真山さん、引き出しにあった冊子見ました?」

「見ましたよ。お互いの事、色々書いてましたね。持ち帰ってまた後で良く読んでみます。」

「私もそうします。さすがにあの膨大な量は暗記できないですからねー!」


「そうそう、真山さんの辞めてほしい事聞かないと。教えて貰えますか?」

「そうですね。実はいま付き合ってる彼女と喧嘩してて、というか一方的に責められてる状態なんです。いま距離を置いてる所で。連絡取り合うのは構わないですが、彼女に手を出さないで下さい。…大丈夫ですか?」

「分かりました。喧嘩ですか。拗れると厄介ですよね。絶対に手は出しませんので安心して下さい!」


「じゃあ次は京野さんが辞めてほしい事、教えて下さい。」

「はい。私は性格上つい何でもかんでも口に出してしまうんです。なので、失言を避けてもらえたら助かります。男友達はたくさんいますが、彼女が出来ても中々長続きしないんです。原因は私の性格や発言に問題があるからなのかなと思っているので。」

「分かりました。気をつけたいと思います。」


二人はそれぞれ基本的な自己紹介をした。

これから始まる一週間のお互いの検討を称え合う。電話を切り、迎えの時間まで待つ。



コンコンコン

「はーい!」






二人はそれぞれ、ホワイト化学製薬の車に乗り自分の家に戻っていった。

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