思い出

◎4/28(金)仁井田奈美→葉山怜



忙しい!忙しすぎる!

締め日が近くて社内がピリピリしてる。

定時に帰るなんて夢のまた夢。残業が数日続いている。


少し気分転換しようと席を離れる。

と言っても、トイレか飲み物淹れる位だけど。

でもずっと座ってるよりは良い。

(事務作業ってなんでこんなに細かいのー上司も日に日にネチネチし出すしストレス溜まる!)

チラッとサキの方を見ると、デスクに向かって作業してる。

(サキも頑張ってるな。私も頑張って少しでも進めなきゃ。)


濃いブラックコーヒーを淹れ、デスクに戻る。

一口だけコーヒーを含み、目頭をギュッとおさえる。

気合いを入れて、仕事に取り掛かかる。




あ〜終わったー!今週長かったー!

忙しくておかしくなる寸前だった。

頑張った自分にご褒美買わなきゃ!


サキは彼氏と仲直りしてこれからデートだって。

いいなぁ。スーパーまでいくのはダルいからコンビニで何か買って帰ろう。


まずはワイン、これは外せない。チーズ、チョコもカゴに入れる。

お母さんの好きなプリンも買っていこう。




今日の夕飯はオムライス。具がたっぷりで卵がフワッとして美味しい。怜さんになって食べた初日を思い出す。

一口食べて、本当美味しくて感動したな。


ワイングラスを二つ準備して、母と乾杯する。

色々つまみながら、この時間を楽しむ。




少し酔ってきて、今まであった母との色々な事を思い出し涙ぐむ。

トイレから戻ってきた母はそれに気付き、

「あら、どうしたのよ?何かあった?」

「何でもないよ。アクビ止まらなくて。忙しくて寝不足だったからさ。でも何とか今日仕上げたからホッとしたー。」

「毎日残業だったもんねー。今日は早めに寝なさい。明日ゆっくり起きればいいよ。」

「うん、そうするね。そうだ、プリン買ってきたから食べよう。」

「ほんと?嬉しい。ちょうど食べたい気分だったの。」


プリンを見てニコニコする母、涙ぐむ怜。

こうして一緒に食べられるのもあと1日。

食べたいものをリストアップして、母に作ってもらおう。




最終日までこの幸せな団らんを大事にしたい。

離れても『母』との事を思い出してこの幸せを噛みしめたい。


時間は無情にも刻々と、淡々と過ぎていった。

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