Lサイズ

◎4/5(水)仁井田奈美→葉山怜



週も半ばになり、少し体の疲れもたまる。

怜の仕事は、一見単純そうだけども気も使うし体力も使う。社内の雰囲気は良くて居心地が良い。

とてもいい環境だなって羨ましくなる。


「ねぇ、今日仕事終わったら久しぶりに遊びに行かない?」

「いいよ。どこに行く?ご飯食べに行く?」

「観たい映画があるんだけど、付き合ってくれない?昨日から公開になったんだ。」

「いいよー何ていう映画?」

「ほら、あのシリーズの映画の最新作だよ。」

「あぁ、あれね。私もこの映画好きー。」

「じゃあ、終わったら速攻行こうね。」


友達と映画…友達と映画…。

何回思い出しても、友達と映画は行った事ないな。一人でなら何回も行ってたけど。


たまの仕事帰りとか、よく土曜日に行ってた。

家で観るのとはやっぱり全然違うんだよね。大画面のスクリーンで観るあの迫力と大音量。あれは映画館でしか味わえない特別な感覚。


受付の仕事始めた頃はよく行ってたけど、最近はめっきり行く回数減っちゃった。何か映画館で観て気分を変えても、すぐ嫌な現実が待ってるかと思うと純粋に楽しめなくなってた。

でも今日は思い切り楽しめそう!



仕事が終わり、映画館に向かう。映画の時間まで一時間ほどあるので、近くの喫茶店で食事をする。

「ここ久しぶりに来たねー。あれ食べよう。えーと、グラタン。チーズが濃厚で好きなんだよね。」

前にもこの二人は来たことがあるみたい。

「じゃあ私も同じやつにする。」


スプーンで上に上げてもいつまでもチーズが切れない。ん〜これは濃厚で美味しい。

美味しくてついニヤける。

「ん?怜嬉しそうな顔して〜コウタさんと進展あった?」

「違うよー!グラタン美味しいなと思ってさ。」

「ほんと?まぁ、焦らずゆっくり行けばいいよ。このグラタン何でこんなに美味しいんだろうね。隠し味が気になるなぁ。」


アツアツのグラタンを完食して、窓の外を見ると仕事帰りのサラリーマンやOL、学生、カップル、親子連れが映画館に吸い込まれて行く。


「なんだかさっきより人多くなってきたね。そろそろうちらも行こっか。」

会計を済ませて、映画館に向かう。



予約してたチケットを発券し、まずはトイレに向かう。案の定混んでいる。

「ねぇ、どっちか先にトイレ終わった方が並んでさ、いつものやつ買おう。」

いつものやつ?脳内記憶で辿る。


『Lサイズポップコーン塩味とウーロン茶』


これが二人の定番か。奈美は映画の時はいつもホットコーヒーかホットレモンティーを頼んでいる。

なんだか新鮮な感じがした。


先に怜が並び始め、少ししてサキが隣に来た。

「混んでるね。まだ時間あるから間に合うけどさ。」

順番が来て、二人の定番を買う。結構量が入ってるけど、食べ切れるのかな?なんて思いながら、係の人にチケットを見せ、席の番号を確認しながら席に座る。

二人の真ん中にポップコーンを置いて、早速頬張る。映画が始まる前なのについつい手が伸びて、半分くらいまで食べてしまった。

(こうやって一緒に食べると何か美味しいな。)



映画のエンドロールが終わった途端、出入り口が混雑する。

「もう少ししたら行こうか。」

「そうだね。」

人の波がまばらになった所で出入り口に向かう。



ポップコーンの容器が積み重なっている。

今度は私からサキを誘ってオススメの映画を観に来よう。

そんな事を思いながら映画館を後にした。

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