笑顔
◎3/27(月)仁井田奈美→葉山怜
時間前に会社に着いた。電車通勤が新鮮で少し楽しかった。
すれ違う人達に挨拶をし、自分のデスクに着く。
デスクにはキャラ物の文房具が置いてある。引き出しを開けるとお菓子や電卓などが入ってた。
(怜さんはカワイイ物が好きなんだね。)
コーヒーを淹れてると、
「怜おはよー。」
本田サキさんだ。ドキドキする。
「おはよう。」
「今日久しぶりにランチ食べに行かない?」
「ごめん。弁当持ってきちゃった。」
「そっかーじゃあ明日食べに行こうよ!」
「うん。」
(天真爛漫って感じの人。明るい感じだな。)
「なんか怜、元気ないけどどうしたの?」
「そう?何もないよー気のせいだよ!」
「ならいいけどさ。はぁー月曜ってダルいよね。とりあえず一日頑張ろうね。」
友達はずっと居なかったし接し方が分からない。
みんないつも何の会話してるの?困ったなぁ。
脳内記憶で少しでも話題を探さないと変に思われちゃう。昼休みにでも、本田さんのこと少しでも予習しておかないと。
昼休みは母の弁当を食べながら、脳内記憶でサキの情報を調べた。
気のせいかもしれないけど、この能力を使うと眠気が強くなるような…。
午後は特に眠くなるんだし、気合い入れよう。
15時少し前、強い眠気に襲われて濃いブラックコーヒーを飲もうと席を立つ。
出来上がるのを待ってる時、サキが向こうから歩いてきた。
「あれ、怜ブラック飲めるようになったの?いつの間に?それにしてもかなり濃そうだね。」
「そう。ブラック飲めるようになりたくて、家でも飲んでたんだ。」
「へーすごいね。絶対ブラックは飲まないって言ってたのに〜大人になったね。」
「あはは。そうでしょー。一つ大人になったよ。」
(本田さん、すごい話しやすい。こんな会話大人になってした事ないよ…。)
「仕事終わったら少し話しあるけど時間取れる?すぐ終わるから。」
「うん、大丈夫だよ。」
「じゃあ後でね。」
仕事が終わって、荷物を持ちサキの所に行く。
「おつかれー!歩きながら話そう。」
「うん。話って何?」
「突然だけど、今週の金曜日仕事の後って時間取れる?」
「うん、取れると思う。何で?」
「彼氏の友達がね、いま彼女いなくて探してるんだって。それで怜に紹介したいなって思ってさ。どう?」
…脳内記憶だと、前にサキさんから何回か紹介してもらったみたいだけどうまく行かずか。行くだけ行ってみるか。
「いいよ。取りあえず会うだけ会ってみる。友達になれそうだったら徐々にって感じでいいでしょ?慎重に選びたいからさぁ。」
「もちろんそれでいいんだよ。重く考えなくていいからね。」
「分かった。ありがとね!」
「怜には幸せになってもらいたいからね。」
表情から見ても、本心で言ってるのが分かる。私もこういう思いやりがある友達が欲しいな。
サキと別れて家に着いた。
玄関を開けると、煮魚と味噌汁のいい匂いがする。
「ただいまー今日は魚だ。楽しみ。」
「おかえり!いま温めるね。」
あんなに毎日ってほど飲んでた胃薬も、怜になってから一度も飲んでない。
順調に一日一日が過ぎ、思った以上に楽しくて笑顔が増えた。私いま、最高に幸せだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます