美人の佇まい

◎3/27(月)葉山怜→仁井田奈美



遅刻するといけないと思い、早めに会社に着いた。ロッカーを探して、荷物を入れる。


少しして、会社の人達が来た。

「奈美ちゃんおはよう!今日は早いね〜!」

「おはようございます。月曜なので気合い入っちゃいました。あははっ。」

「お、朝から冗談言って〜週末何か良い事でもあったぁ?」

「いえいえ、何もないですよ〜。」


奈美さんって、冗談言わない人なのかな?ほどほどにした方が良いのかも…。まぁ、でもこれもコミュニケーションだからいっか。


少しずつお客さんの出入りも増えて、『脳内記憶』を使いながら何とか午前中の仕事が終わった。

12時になり、奈美がいつも行くお店に向かう。



(あーお腹すいた。今朝は昨日の夜と同じおかずだったし、やっぱり足りなかった。)

奈美さん、野菜炒め定食が好きなんだな。私は何にしようかな〜。

少し悩み『カツカレーセット』を頼む。

(お腹すいた時はやっぱりがっつりセットでしょ。)


ここの定食屋は、他の所と比べて全体的に量が多い。奈美本人は基本的に朝食は少しだけにして、昼にしっかり食べる。

それを知らない『奈美』は、運ばれてきたカツカレーセットの量の多さに少しビックリした。


(少し多いから無理しないで食べよう。)

昨日みたいに食べすぎなければ大丈夫。

そう思いながらもほとんど食べた。


本当は全部食べたかったけど、胃が小さくて入らない。(あーもったいないけど仕方ない。)

周りにいた人達も、奈美の食べっぷりにビックリしてる。

それに気づいた奈美は、ついつい会釈をする。


ただでさえ目立つのに、さらに目立っちゃった。

店を出てもうすぐ会社に着きそうになった時、後ろから奈美を呼ぶ声がした。

振り返ると、男性が手を振って近づいてくる。


「偶然だね〜奈美ちゃん!お昼食べてきたの?」

名札を見ると『細川』と書いてある。あ、この人がストーカーか。

「はい、食べ終わって会社に戻るところです。」

ニコッと愛想笑いをする。

「そうなんだ。奈美ちゃんと一緒に食べたかったなぁ。俺、今からご飯食べに行くんだ。」

「そうなんですね。じゃあ、戻るのでまた。」

軽く会釈をして細川と別れる。


初めて話してみたらそんなに悪い人じゃなさそうだったな。フレンドリーで話しやすかった。

でもストーカーみたいだし気をつけよう。



午後の仕事が終わり、後片付けをする。

(はぁー受付って大変。顔の筋肉疲れるし、色々気を使うしヘトヘトだ。)

ロッカーに向かう途中で、大きいあくびと背伸びをする。

運悪く、他の社員に見られてしまった。


いけない、変なとこ見られちゃった。

明日から気をつけなきゃ…。

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