初日②(奈美→怜)

楽しみにしてた唐揚げを食べ終わり、食器の片付けをする。

美味しくていつもより食べ過ぎちゃった。


「少し唐揚げ残ったね。明日の弁当に入れるか。」

「ありがとう。」

(お弁当作ってくれるんだ。優しいな。)

「他にリクエストある?家にある材料でしか作れないけど。買い物行く前に聞けばよかったな〜。」

「んーと、白だしで味付けした卵焼き食べたい。」

「え?珍しい事言うね〜。いつも甘いやつなのに。ちょっと待って、白だしうちにあったかなー。」

冷蔵庫を探す。

「あ、奥の方にあったわ。期限もまだ大丈夫だったから使えるね。」

「やったね〜!」

「あはは。そんなに喜んでもらえると嬉しいわ〜。」



部屋に戻り、明日の準備をしようと冊子を見る。

会社の基本情報、仕事内容、取引先。

出勤時間が9時からか。

この近くの電車で行けば良いよね。


『脳内記憶』で電車の時間や行き方などを確認する。この『脳内記憶』の使い方もすっかり慣れた。


怜さんと仲が良い、同じ会社の『本田サキさん』。

明日からうまくやれるか心配だけどやるしかないよね。あとは、目立たないように生活しよう。

それが一番の私の望みでもあるし。

それと、しばらく怜さんのお母さんの料理が食べられると思うと楽しみ。


そうだ。母からの電話攻撃の事、たぶん怜さんが持ってる冊子に書いてあると思うけど…

マジメに毎回電話に出るとしつこいからな。昨日怜さんに直接話しておけば良かった。


昨日は色々ありすぎて…気が張ってて気付かなかったけど、やっぱり後から心配事が出てくるなぁ。


ダメダメ、心配しすぎるのは良くない。

この生活が始まったんだし、前向きに行こう。



お風呂に入り、スキンケアをする。

明日の朝食を楽しみに、布団に入って眠りにつく。

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