初日②(怜→奈美)

明日から奈美の会社に出勤する。


…確か、受付の仕事だったよね。心配要らないと思うけど念の為に調べておかないと。

会社の基本情報、仕事内容、取引先。これを抑えておけば何とかなるはず。冊子とにらめっこしながら、記憶していく。


9時から仕事だから、通勤時間を考えて8時に出ればいいな。

クローゼットを見ると会社の制服が掛かってる。

カワイイ制服。明日着ていくのが今から楽しみ。


通勤バッグは…これ、よく雑誌に載ってるバッグだ。かわいー!

奈美さんのセンス好きだな。しかも雰囲気に合ってる。私も何個かこういうの持ってるけど、バッグだけ目立って何かしっくり来ないんだよなぁ。



明日の準備をだいぶ早めに済ませ、さっき見つけた奈美の携帯を見る。

(昨日、試験前に携帯を預けたはずなのに部屋に置いてあったんだよな。何もかも不思議だわ。)

履歴を見ると、母親からの着信がほとんどだった。電話帳を見ても、登録数が少ない。

あまり友達作らない人なのかな。


私みたいな人を交換相手に選んだって事は、平凡に暮らしたいって事なんだろうな。まさに私達って正反対の人間。


私は今まで仕事中心の生活だったけど私生活を存分に楽しもう。奈美さんにも、私と同じように私の姿で楽しんで欲しいな。


プルルル プルルル プルルル

着信が鳴る。


奈美さんの『母』から電話だ。

(うわ〜早速電話が来た。)

「はい、もしもし。」

「あ、奈美?何してたの?」

「え?えぇと…テレビ見てたよ。どうしたの?」

「別に用はないけどさ、何してるのかと思って。」

「そっか。」

何を話したらいいか分からず言葉に詰まる。


「もしもし?何か元気ないけど大丈夫なの?」

「そうかな?気のせいだよ〜。」

「ならいいけど。たまには家に帰ってきて顔見せてよ?お父さんも寂しがってるわよ。」

「うん。ちょっと仕事忙しくてさ。」

「あら、大変ね。体に気をつけてね。じゃあまたね!」


元気なお母さん。悪い人じゃなさそうだけど、頻繁に掛かってくるのはしんどいな。

たまに電話に出ればいっか。


そういえばお母さん元気かな。会ってないの一日だけだけど。お母さんのご飯食べたくなってきた…。

冷蔵庫を開けて、夕食の食材を探す。

トマトとレタスでサラダと…あれ、他に食材無いなぁ。やっぱり明日買い物行かなきゃ。



早炊きでご飯を炊いて、漬物と海苔の佃煮で食べる。お腹の調子が元に戻ったので、ご飯のおかわりをした。

(炊きたてのご飯、やっぱり美味しい!)

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