第11話 新しい世界
山の中にある古民家的な蕎麦屋。
日常から解放されていくかのように山道をゆっくり歩いていく。
自然に癒されて体と心が気持ち良さを感じていた。
あ、着いた!
蕎麦屋の前には綺麗なラナンキュラスが咲いていた。
うわ~。
リリコは綺麗なラナンキュラスに感動する。
記念に1枚いいかしら。
写真を1枚撮った後、蕎麦屋の暖簾をくぐりリリコは扉を開けた。
『こんにちは。予約してます栗山りりこです。』
個室に案内され出されたほうじ茶をゆっくり飲んで待つことにした。
ほうじ茶がリリコの体をじんわりと温めていく。
本当に癒されるわ~。
今日来て良かった~。
心の声が思わず声に出た。
その時だった。
『お待たせしました~!』
扉を豪快に開け陽気な男性が入ってくる。
逆光になって男性の顔がよく見えないだけだがリリコには光輝く男性に見えた。
『光ってる!』
思わず声に出した。
『アハハハハ!よく言われます!』
豪快に笑いながら笑みを浮かべ素直に喜ぶ男である。
その時すでにリリコは気づいていた。
この人…。
でもコウタとの恋の傷が確信の道を阻んでいた。
そば打ち体験は思ってた以上に楽しくリリコは小さな子供のような表情をしていた。
楽しい趣味が一つ増え喜んでいた。
何度か通っているうちにリリコとその男性の距離は縮まっていった。
初めて一緒に食事した時だろうか。
『何飲む?』
『ビール!』
リリコの口からは自然とビール!の一言が出ていた。
『ケンちゃんは?』
『ちゃん?子供じゃあるまいし。』
豪快に笑うケンジの横でリリコも豪快に笑う。
2人の笑い声は楽しい音楽のようにその場にいるスタッフも笑顔にしていた。
『ケンちゃんのその笑い方いいね~。』
リリコの言葉に目尻を下げ喜ぶケンジであった。
ケンジの豪快な笑いと明るさがいつの間にかリリコの心の傷を癒していた。
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