第10話 心の整理
しばらくリリコは落ち込んでいた。
彼氏に浮気されたわけでもなく、告白して振られたわけでもないのだが
3年振りに訪れた恋に期待する気持ちが大きかったようだ。
音楽なんて流れてこない無音の世界を過ごしていた。
いつもと同じ道を歩き、
いつもと同じ駅につき、
いつもと同じ景色を眺めながら今日も出勤している。
さおりはすぐにリリコの様子に気づき話を聞いたり気分転換に飲みに行ったりと
心を楽にしてくれた。
リリコはさおりの愛に感謝の気持ちでいっぱいだった。
元気が戻るにつれ内観し始めたリリコ。
コウタは素敵な人だったわ。
一緒にお話ししてる時楽しかったし。
一緒についてきたサキにはびっくりしたけど、
私にはない強さを持っているわね。
でも苦手だわ~。
その自分が苦手な人と楽しそうに一緒にいるコウタって本当は…。
結局は私とは合わない人だったんじゃないの?
苦手な人に頭を占領されて自分の人生がもったいないじゃない。
男なんて世の中に何人いると思ってるの。
必ず自分に合う人がいるはず。
その時リリコは自分がパートナーを強く求めていることに気づいた。
コウタと出会ってなかったらずっと気づかなかったかもしれない。
コウタとの出会いに感謝し始めていた。
その頃だろうか。
一度コウタから映画のお誘いがきたが…。
行きたくない~。
心の整理が終わったリリコは自分の心の声をしっかり聞いている。
丁寧にお断りのメールをする。
一度きり、それからはもうコウタから連絡はなかった。
『リリコ~これしてみたいって言ってたよね?』
『そば打ち体験ですか?』
『そうそう主人が見つけて』
さおりはそば打ち体験のチラシをリリコへ持ってくる。
『ありがとうございます。行ってみようかな~。』
と早速予約を入れてみたリリコ。
ずっと気にはなってたけど行けていなかったそば打ち体験。
次の休日が楽しみになっていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます